三重大学ウェブシラバス


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科目の基本情報

開講年度 2023 年度
開講区分 生物資源学部
受講対象学生 海洋生物資源学科・海洋生物資源学教育コース
学部(学士課程) : 2年次
選択・必修 選択必修
教育コース選択必修:海洋P指定科目
選択科目:水圏P指定科目
授業科目名 藻類学
そうるいがく
Phycology
単位数 2 単位
ナンバリングコード
BIOR-Mari-2531-011
開放科目 非開放科目    
開講学期

後期

開講時間 火曜日 3, 4時限
授業形態

対面授業

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

「オンライン授業」・・・オンライン会議ツール等を利用して実施する同時双方向型の授業
「ハイブリッド授業」・・・「対面授業」と「オンライン授業」を併用した授業
「オンデマンド授業」・・・動画コンテンツの配信等によって実施する授業

開講場所 開講教室は、授業時間割あるいは掲示にて確認すること。

担当教員 倉島 彰(生物資源学部)

KURASHIMA, Akira

SDGsの目標
連絡事項

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

学修の目的と方法

授業の概要  ヒトエグサ,ノリ,ヒジキなどの海藻は三重県の重要な海産物です。また,志摩半島の海女は伊勢神宮に納める海藻を採取するなど,三重県は海藻とのつながりが非常に深い文化を持っています。この授業では,海藻(海産大型藻類)を主な対象として取り挙げながら,藻類とはどのような生物なのかを考えます。
 講義内容は,藻類全体の概論,緑藻,紅藻,褐藻の分類と形態,海藻の生理生態の3つの分野に大きく分かれます。概論では,真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性,真核藻類の誕生について説明します。海藻の各論では,コンブ,ワカメ,ノリ,ヒジキなどの身近な海藻を例に挙げながら,海藻の系統分類,形態学的特徴と生活史について解説します。生理生態では,光合成と物質生産,環境と海藻の分布,藻場の生態系における役割,養殖や利用法,人間と海藻の関わりについて解説します。またこれらの講義の中で,三重県における藻場衰退現象(磯焼け)への対策の具体的な対応について紹介します。 
 この講義によって,沿岸域の主要な一次生産者である海藻の基礎を知ることで,生物多様性や沿岸環境の保全に役立つ知識を得ることを目指します。
 この講義では,生物資源学部のDPである(2)生命、環境、食料、健康等に関する生物資源学の基本的な知識の習得,海洋生物資源学科のCPである,海洋環境や海洋生物資源を取り巻く問題に対する多面的な視野からの解決能力の習得を目指します。
 授業で用いるスライドは,あらかじめ最初の講義および Moodleで配布します。
学修の目的  「藻類学」は,生物全体の系統の中での藻類の位置を理解すること,藻類の各分類群ごとの細胞学から生理・生態に至るまでの特徴を知るための授業です。そして沿岸域における藻場の重要性,人間社会における海藻の有用性に対する理解を深めることでその価値を認識し,水産や環境保全に活用する方法を考察することを目的とします。
学修の到達目標  生物資源としての藻類の役割を理解し,水産や環境保全に利活用できる知識を身につけるために,以下の学習到達目標を設定します。
「知識」:藻類の各分類群の形態的・生理生態的特徴を例を挙げて述べることができるようになる。
「態度」:藻類が多様な生物分類群から構成されていることを,生物全体の系統関係とともに示すことができる。
「技能」:沿岸域における藻場の役割や海藻と人間社会の関わりについて,専門書を利用して調べることができる。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
 (1)幅広い教養と倫理観、国際感覚を身につけ、豊かな人間性を有している。
○(2)生命、環境、食料、健康等に関する生物資源学の基本的な知識と技術、経験を有している。
 (3)科学的で論理的な思考を展開することができ、計画的に問題の解決に取り組むことができる。
 (4)豊かなコミュニケーション能力を持ち、他者と協力して行動することができる。
 (5)社会の変化に柔軟かつ自律的に対応し、発展的に生きていくことができる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  • ○感性
  •  共感
  •  主体性
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  •  論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  •  問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

○ JABEE 関連項目
成績評価方法と基準 毎回の小テスト30%,期末試験70%,計100%。
「知識」:藻類の分類群ごとの形態的・生理生態的な共通点と違いを簡潔にまとめることができる(小テストと期末試験)。
「態度」:藻類と他の生物との系統関係を図示して表現することができる(期末試験)。
「技能」:藻場の役割,海藻と人間の関わりを調べ,その重要性を他者に示すことができる(期末試験)。
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

Moodleを活用する授業
地域理解・地域交流の要素を加えた授業

英語を用いた教育

授業改善の工夫 プリント,液晶プロジェクタをできるだけ利用して分かりやすく説明する。身近で親しみやすい話題をできるだけ取り入れる。
教科書 授業時間毎のプリントをMoodleにより配信します。
参考書 藻類30億年の自然史 第2版(井上勲著 東海大学出版会) 
オフィスアワー 火曜日 16:30-18:00,623室
受講要件 特になし。
予め履修が望ましい科目 海洋生物学。
発展科目 海洋植物学実験。藻類学実習。
その他 教員免許・各種資格取得に関連した科目 (注 : 必ず入学年度の学修(習)要項で確認してください)
Moodleを用いて小テストを行うので,毎回PC等を持ってきてください。
高等学校教諭一種免許(水産)-水産の関係科目

授業計画

各回
共通
MoodleのコースURL
第1回 概要 ガイダンス,藻類はどんな生物か?
真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性
授業時間内の学修内容 ・藻類とはどのような生物なのかを理解する
・真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性
・藻類は植物か?
・植物とは何か?
キーワード(Key Word(s)) 真核生物(eukaryotes),系統(phylogen),多様性(diveresity)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を,次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第2回 概要 細胞共生と葉緑体の起源
藻類の分類群ごとの葉緑体の起源の違い,一次植物,二次植物,三次植物について
授業時間内の学修内容 ・藻類を藻類たらしてめているのは酸素発生型光合成を行うこと
・光合成を行う小器官である葉緑体がどのように生じたのかを理解する
・葉緑体の起源を知るために,まずは光合成と地球の歴史,真核生物と原核生物について
・葉緑体をはじめとする真核生物の小器官が,細胞共生によるとされる根拠
・葉緑体として真核生物を取り込んだ藻類
キーワード(Key Word(s)) 葉緑体(chloroplast),一次共生(primary endosymbiosis),二次共生(secondary endosymbiosis),三次共生(tertiary endosymbiosis)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を,次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第3回 概要 緑色植物の系統と特徴
陸上植物と緑藻の系統関係と共通点について
授業時間内の学修内容 ・陸上植物と同じスーパーグループに属する緑色の藻類の系統と形態的特徴を理解する
・緑色の藻類には,陸上植物に進化した系統と海中で進化した2つの系統がある
・それぞれの系統にはどのような違いがあるのか
・陸上植物と緑色の藻類どのような共通点,相違点があるのか
・なぜ陸上に進出したのか
キーワード(Key Word(s)) ストレプト植物(streptophytes),緑藻植物門(Chlorophyta),緑藻綱(Chlorophyceae),アオサ藻綱(Ulvophyceae)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第4回 概要 海藻の生活史の基本と緑色植物の生活史
授業時間内の学修内容 ・藻類の生活史を理解する
・海藻の生活史の基本パターンと用語の解説
キーワード(Key Word(s)) 生活史(life cycle),配偶体(gametophyte),配偶子(gamete),胞子体(sporophyte),胞子(spore)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第5回 概要 アオサ藻綱の生活史
授業時間内の学修内容 ・海産緑藻であるアオサ藻綱の生活史の基本を理解する
・藻類から陸上植物に至る生活史の進化の過程
・生活史の基本パターンとそれぞれの生活史を持つ藻類について
キーワード(Key Word(s)) キーワード 生活史(life cycle),アオサ藻綱(Ulvophyceae),アナアオサ(Ulva pertusa),ヒトエグサ(Monostroma nitidum),ツユノイト(Derbesia marina),ミル(Codium fragile)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第6回 概要 紅色植物の系統と特徴
他の生物にはみられない特徴
授業時間内の学修内容 ・紅色植物の系統と形態的特徴を理解する
・紅藻は他の真核生物にはあまりみられないユニークな特徴を持つ
・特に鞭毛がないことと細胞融合しやすいことが紅藻の生活史に大きく関わっている
・光合成色素の特徴と葉緑体の構造の関係
キーワード(Key Word(s)) 紅色植物門(Rhodophyta),真正紅藻綱(Florideophyceae),ウシケノリ綱(Bangiophyceae),フィコビリソーム(phycobilisome),ピットコネクション(pit connection)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第7回 概要 紅色植物の生活史
真正紅藻とウシケノリ綱の独特な生活史
授業時間内の学修内容 ・紅藻の生活史・生活環の基本を理解する
・真正紅藻とウシケノリ綱の生活史の特徴
・真正紅藻は他に類を見ない3世代交代を行う
・なぜ紅藻は独特の生活史を持つのか
キーワード(Key Word(s)) 生活史(life cycle),真正紅藻綱(Florideophyceae),ウシケノリ綱( Bangiophyceae),フクロフノリ(Gloiopeltis furcata),スサビノリ(Neopyropia tenera)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第8回 概要 不等毛植物と褐藻の系統と特徴
二次植物である不等毛植物の特徴,褐藻の細胞学的な特徴
授業時間内の学修内容 ・不等毛植物および褐藻の系統と形態的特徴を理解する
・不等毛植物は緑色植物と並ぶ巨大グループ
・多様な生物がストラメノパイルとしてまとめられる理由
・二次植物であるため,葉緑体の構造が緑藻や紅藻と比較して複雑
・褐藻の構造と巨大な体を持つことができる理由
キーワード(Key Word(s)) 不等毛植物門(heterokontophyta),褐藻綱(Phaeophyceae),柔組織(parenchyma)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第9回 概要 褐藻の生活史
ワカメやヒジキなど身近な海藻の一生
授業時間内の学修内容 ・褐藻綱の生活史・生活環の基本を理解する
・基本パターンとそれぞれの生活史を持つ藻類について
・身近な海藻がどのような一生を送っているのか
キーワード(Key Word(s)) 生活史(life history,),褐藻綱(Phaeophyceae),アミジグサ(Dictyota dichotoma),ムチモ(Mutimo cylindricus),ワカメ(Undaria pinntatifida),ヒジキ(Sargassum fusiforme)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。次週からは海藻の生理・生態学になるので,ここまでの授業でわからなかったこと,疑問に思ったこと,知りたいことなどをA4で1枚程度にしてMoodleに提出してください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第10回 概要 海中の光環境 ー光量と光質ー
陸上と海中の光環境の違い
授業時間内の学修内容 ・光とは何か理解する
・光合成生物である藻類が生きていくためには光が必要である
・光の量や質の単位と測定の方法 なぜ色々な単位があるのか
・陸上と海中では光量・光質が大きく異なる
・水深や場所によって海の色は異なる
・藻類の色と光質はどう関係しているのか
キーワード(Key Word(s)) 光量子束密度(photon flux density),Lambert-Beerの法則(Lambert-Beer law),光合成有効放射(photosynthetically active radiation)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第11回 概要 光質と海藻の垂直分布
光の色と海藻の色素組成,垂直分布との関係
授業時間内の学修内容 ・光合成速度と光量の関係
・光量と光質が藻類の垂直分布に及ぼす影響を理解する
・光質は藻類の分布に対して極めて大きな影響を持つ
・光質による光合成効率の違いと含有する光合成色素の量と組成
・緑藻,紅藻,褐藻の光質への適応方法の違い
キーワード(Key Word(s)) 垂直分布(vertical distribution),補色適応説(theory of complementary chromatic adaptation),光合成色素(photosynthetic pigment),吸収スペクトル(absorption spectrum)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第12回 概要 藻場の生産力
沿岸生態系における藻場の特徴と役割,海藻の生産力の測定例
授業時間内の学修内容 ・沿岸生態系における藻場の特徴と役割を生産力の観点から理解する
・藻場の種類と特徴
・植物群落である藻場は変化がないように見えるが長期的には極めて大きく変動している
・生産力と生長速度,生産量の違い
・さまざまな生態系の生産力
・藻場の高い生産力が炭素吸収で果たす役割(ブルーカーボン)
・生産力測定方法の一例
キーワード(Key Word(s)) 藻場(algal bed),生産力(productivity),ブルーカーボン(blue carbon)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第13回 概要 磯焼けとその対策
磯焼けの要因,対策手法と三重県における実例
授業時間内の学修内容 ・世界中で問題となっている磯焼け現象とその対策を理解する
・磯焼けの定義と現状
・いつから磯焼けはあったのか?
・その要因は解明されているのか?対策はあるのか?
・磯焼けの要因と対策手法
・ウニの密度と藻場の衰退・再生の関係
キーワード(Key Word(s)) 磯焼け(barren ground),黒潮大蛇行(Kuroshio Meander),ウニ(sea urchin),藻食魚(herbivorous fish)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第14回 概要 海藻の利用-1
世界の養殖海藻,食用以外の利用法,三重県の養殖海藻
授業時間内の学修内容 ・世界と日本の養殖海藻について理解する
・世界で養殖されている海藻の色々
・ノリの養殖
・一般に食用にされているノリは何か
・三重県のヒトエグサ 養殖
キーワード(Key Word(s)) 養殖(aquaculture),スサビノリ(Neopyropia yezoensis),ヒトエグサ(Monostroma nitidum)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 今回の講義内容を次週の小テストで出すので,復習しておいてください。また,Moodleの関連資料を読んでください。後半の授業でわからなかったこと,疑問に思ったこと,知りたいことなどをA4で1枚程度にしてMoodleに提出してください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第15回 概要 海藻の利用-2
授業時間内の学修内容 ヒトの歴史と海藻
キーワード(Key Word(s)) ケルプハイウェイ(kelp highway),文学(literature),芸術(art)
事前学修の内容 Moodleに挙げている資料を読んでおいてください。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 期末試験に備えてこれまでの小テストや資料の内容をまとめておいてください。
事後学修の時間 120分
自由記述欄

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