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科目の基本情報

開講年度 2020 年度
開講区分 教養教育・教養統合科目・国際理解・現代社会理解
受講対象学生 学部(学士課程) : 1年次, 2年次, 3年次, 4年次, 5年次, 6年次
授業科目名 倫理学F
りんりがくえふ
Ethics F
授業テーマ 倫理学の特殊問題
単位数 2 単位
ナンバリングコード
開放科目 非開放科目    
分野 人文 (2014年度(平成26年度)以前入学生対象)
開講学期

後期

開講時間 火曜日 7, 8時限
開講場所

担当教員 安倍 里美(人文学部)

ABE,Satomi

SDGsの目標

学修の目的と方法

授業の概要 メタ倫理学という領域においては、私たちがなすべきことは何かという問いを立てることによってではなく、「何かをなすべき」ということ自体がいかなることなのかを考えることによって道徳の理解が図られます。
たとえば、「むやみに人を殴ってはいけない」とか「嘘をつくべきではない」と言った発言は、確かに、少なくともある程度私たちの行動をセーブする役目を果たしていますが、道徳的発言はどうしてそのような力を持っているのでしょうか。
「犬は哺乳類だ」とか「マーティン・フリーマンは英国出身の俳優だ」といった、通常の、世界についての記述した言葉には、同様の力はないように思えます。ならば、書かれたものも含めて、私たちの身の回りの道徳的な発言とは一体どのようなものなのでしょうか。何か特別な種類の発言なのだとしたら、それは何を記述しているのでしょうか。むしろ何も記述などしていないかもしれません。なぜなら、私たちは犬を観察して哺乳類であることを確かめたり、マーティン・フリーマン出演の映画やドラマを見たりすることはできても、道徳的なものそれ自体を見たり触ったりすることはできないからです。殴る、嘘をつくといった行動を見聞きすることはできても、「悪さ」や「不正さ」を見たり、聞いたり、触ったりすることなどできません。
では、道徳とは一体何なのか。唐突に、今までなんとなく周りにあったものの存在が疑わしくなります。このような問いはあまりに抽象的で、難解で「答えなどない」と言いたくなるかもしれません。しかし、多くの哲学者がそのように断じる前に、なんとかこの問題に説得的な答えを出せないかと骨を折ってきました。本講義では、そのような議論の積み重ねを紹介し、それぞれの哲学者の主張を学ぶことを通して、道徳の理解を深めていくことを目指します。
学修の目的 (1)メタ倫理学上の抽象度の高い議論に向き合い、内容を理解する。
(2)抽象度の高い哲学的議論でも、時間をかけて向き合えば理解できるという実感を持つ。
(3)哲学的な議論をする際に、自身が支持する見解と対立する理論をとっている相手が主張しようとしていることを矮小化せず、相手の主張の説得性を正当に評価することの重要さを理解する。
学修の到達目標 (1)メタ倫理学上の主要な理論を理解し、それぞれの主張を正確に説明できる。
(2)道徳言明の分析についての主張と、道徳的事実・性質についての存在論的主張を明白に区別できる。
(3)その上で、整合性のある仕方で、メタ倫理学についての自分自身の意見を持つ。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  •  主体性
考える力
  • ○幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

成績評価方法と基準 期末試験100%。持ち込みなし。
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

その他、能動的要素を加えた授業(ミニッツペーパー、シャトルカードなど)

英語を用いた教育

授業改善の工夫 ・講義の理解度を確かめるためにも、講義内容についての不明点や反論を、学生にリフレクションペーパーで提出してもらう。
・内容によってはそれらの質問や反論を講義時に紹介し、学生との対話を図りつつ、講義内容の理解を深めてもらう。
教科書
参考書 佐藤岳詩『メタ倫理学入門:道徳のそもそもを考える』勁草書房,2017年. 
マイケル・スミス(樫則章訳)『道徳の中心問題』ナカニシヤ出版,2006年.
オフィスアワー 講義中に指示します。
受講要件 特にありません。
予め履修が望ましい科目 特にありません。
発展科目 哲学、倫理学
その他 スマートフォンをはじめとした、音の出る機器の使用を禁じます。また、本講義で使用するパワーポイントのスライドをカメラ機能のある機器によって撮影することも禁じます。悪質な私語や、その他の他の受講生の迷惑となると判断される行為をする学生には、退出を命じる場合があります。

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード メタ倫理学
Key Word(s) Meta-Ethics
学修内容 第1回:イントロダクション
第2回:ムーアのOQA、非自然主義実在論
第3回:道徳非実在論1
第4回:道徳非実在論2
第5回:自然主義道徳実在論
第6回:中間まとめ
第7回:非認知主義1
第8回:非認知主義2
第9回:認知主義1
第10回:認知主義2
第11回:Why Be Mroral問題
第12回:道徳性と規範性
第13回:非自然主義実在論再考
第14回:規範的な諸概念の関係
第15回:授業のまとめ
事前・事後学修の内容 ・講義で紹介するメタ倫理学の諸理論について、本当に問題点はないのか(あるいは本当に擁護はできないのか)考えてみる時間を設けてください。
・哲学的な知識や思考のマナーを身につけるには、文献を熟読することも必要です。参考書として指定している文献を参照して、自ら理解を深めるよう努めてください。

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