三重大学ウェブシラバス


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科目の基本情報

開講年度 2020 年度
開講区分 生物資源学部
受講対象学生 生物圏生命科学科・海洋生物科学教育コース
学部(学士課程) : 2年次
選択・必修 選択必修
教育コース選択必修:海洋P指定科目
選択科目:水圏P指定科目
授業科目名 藻類学
そうるいがく
Phycology
単位数 2 単位
ナンバリングコード
BIOR-Mari-2531-011
開放科目 非開放科目    
開講学期

後期

開講時間 火曜日 3, 4時限
開講場所 開講教室は、2020年度授業時間割(用紙)あるいは掲示にて確認すること。

担当教員 倉島 彰(生物資源学部)

KURASHIMA, Akira

SDGsの目標

学修の目的と方法

授業の概要  ヒトエグサ,ノリ,ヒジキなどの海藻は三重県の重要な海産物である。また,古来,志摩半島の海女は伊勢神宮に納める海藻を採取しており,三重県の文化は海藻とのつながりが非常に深い。この授業では,海藻(海産大型藻類)を主な対象として取り挙げながら,藻類とはどのような生物なのかを理解する。授業ではコンブ,ワカメ,ノリ,ヒジキなどの身近な海藻を例に挙げながら,真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性,陸上植物との関係,海藻の形態学的特徴,光合成と物質生産,環境と海藻の分布,藻場の生態系における役割,養殖や利用法,人間と海藻の関わり,三重県における藻場衰退現象(磯焼け)への対策状況を紹介する。
 授業で用いるスライドは,あらかじめ最初の講義および Moodleで配布する。
学修の目的 藻類の分類群の特徴や多様性等について学ぶことで,生態系の中での藻類の位置,海藻の重要性と有用性を知り,海藻に対する親しみを深めてその価値を認識する。
学修の到達目標 藻類は陸上植物と異なる多くの分類群から構成される多様性に富んだ生物であることを認識し,生物としての藻類に関する基本的な知識を得る。また,海藻が我々の生活にどのように関わっているのか,生態的,水産的にどのような役割を果たしているのかについて知識を得る。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
○ JABEE 関連項目
 幅広い教養と倫理観、国際感覚を身につけ、豊かな人間性を有している。
○生命、環境、食料、健康等に関する生物資源学の基本的な知識と技術、経験を有している。
 科学的で論理的な思考を展開することができ、計画的に問題の解決に取り組むことができる。
 豊かなコミュニケーション能力を持ち、他者と協力して行動することができる。
 社会の変化に柔軟かつ自律的に対応し、発展的に生きていくことができる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  • ○感性
  •  共感
  •  主体性
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  •  論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  •  問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

成績評価方法と基準 小テスト10%。期末試験90%,計100%。
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

Moodleを活用する授業
地域理解・地域交流の要素を加えた授業

英語を用いた教育

授業改善の工夫 プリント,液晶プロジェクタをできるだけ利用して分かりやすく説明する。身近で親しみやすい話題をできるだけ取り入れる。
教科書 授業時間毎のプリントをMoodleにより配信します。
参考書 藻類30億年の自然史 第2版(井上勲著 東海大学出版会) 
オフィスアワー 火曜日 16:30-18:00,623室
受講要件 特になし。
予め履修が望ましい科目 海洋生物学。
発展科目 海洋植物学実験。藻類学実習。
その他 Moodleを用いて小テストを行うので,毎回PC等を持ってきてください。
高等学校教諭一種免許(水産)-水産の関係科目

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード 藻類,海藻,系統,生活史,生態,光合成,生産力
Key Word(s) algae, seaweeds, phylogeny, lifecycle, ecology, photosynthesis, productivity
学修内容 大型藻類を主な対象として,下記の項目について15回の講義を行い,最終週に期末試験を実施する。
各項目は関連しあっているため,講義の順番は前後することがある。

I. 生物と藻類の系統:生物の系統の中での藻類の位置,真核藻類の誕生
 I-1. ガイダンス
 I-2. 藻類はどんな生物か?:真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性
 I-3. 細胞共生と葉緑体の起源:葉緑体がどのように生じたのか
II. 藻類の分類と形態:大型藻類を中心とした分類,形態,生活史
 II-1. 緑色植物の系統と特徴:陸上植物と緑色藻類の系統関係と共通点
 II-2. 生活史の基本と緑色植物の生活史:海藻の生活史の基本パターンと緑藻の生活史・生活環
 II-3. アオサ藻綱の生活史:海の緑藻であるアオサ藻綱の生活史の基本
 II-4. 紅色植物の系統と特徴:紅色植物の系統と他の生物にはみられない特徴
 II-5. 紅色植物の生活史:真正紅藻とウシケノリ綱の独特な生活史
 II-6. 不等毛植物と褐藻の系統と特徴:二次植物としての褐藻
 II-7. 褐藻の生活史:ワカメやヒジキなど身近な海藻の一生
III. 海藻の生理生態:海藻の光合成,環境と海藻の分布,海藻群落の構造,藻場の生産力,磯焼け,三重県の磯焼け対策
 III-1. 光量と光質:光とは何か,陸上と海中の光環境の違い
 III-2. 光質と海藻の垂直分布:光の色と海藻の色素組成,垂直分布との関係
 III-3. 藻場の生産力:沿岸生態系における藻場の特徴と役割,海藻の生産力の測定例
IV. 海藻と人間:沿岸環境と海藻,海藻利用の歴史,海藻の養殖
 IV-1. 磯焼けとその対策:磯焼けの要因,対策手法と三重県における実例
 IV-2. 海藻の利用:世界の養殖海藻,食用以外の利用法,三重県の養殖海藻
V. 期末試験
事前・事後学修の内容 事前,事後学習では,参考に挙げた「藻類30億年の自然史」のほか,以下の資料を利用すること。
I-1の予習では「海洋生物学」で配布した資料。
I-2以降の予習,復習では初回配布資料およびMoodleで配布する資料。

I-1. ガイダンス ・予習:海藻の生物学に関して予習する(4時間)
I-2. 藻類はどんな生物か? ・予習:真核生物の中での藻類の系統的な位置と多様性に関して予習する(2時間),復習:藻類とはどのような生物なのかを理解する(2時間)
I-3. 細胞共生と葉緑体の起源 ・予習:真核生物と原核生物,細胞共生説に関して予習する(2時間),復習:光合成を行う小器官である葉緑体がどのように生じたのかを理解する(2時間)
II-1. 緑色植物の系統と特徴 ・予習:緑色藻類のうち陸上植物に進化した系統と海中で進化した系統に関して予習する(2時間),復習:陸上植物と緑色の藻類の系統関係と形態的特徴を理解する(2時間)
II-2. 生活史の基本と緑色植物の生活史 ・予習:藻類の生活史の基本パターンと用語について予習する(2時間),復習:藻類から陸上植物に至る生活史の進化の過程を理解する(2時間)
II-3. アオサ藻綱の生活史 ・予習:海産緑藻であるアオサ藻綱の生活史について予習する(2時間),復習:アオサ藻綱の生活史の基本パターンとそれぞれの生活史を持つ藻類を理解する(2時間)
II-4. 紅色植物の系統と特徴 ・予習:紅藻の形態,光合成色素と葉緑体の構造に関して予習する(2時間),復習:紅色植物の系統と形態的特徴を理解する(2時間)
II-5. 紅色植物の生活史 ・予習:真正紅藻とウシケノリ綱の生活史について予習する(2時間),復習:真正紅藻はの3世代交代とノリの複雑な一生を理解する(2時間)
II-6. 不等毛植物と褐藻の系統と特徴 ・予習:ストラメノパイルの形態的特徴と褐藻の葉緑体の構造に関して予習する(2時間),復習:不等毛植物および褐藻の系統と形態的特徴を理解する(2時間)
II-7. 褐藻の生活史 ・予習:ワカメやヒジキなど身近な海藻の生活史についての予習する(2時間),復習:褐藻綱の生活史・生活環の基本を理解する(2時間)
III-1. 光量と光質 ・予習:陸上と海中の光量・光質,光合成ー光曲線に関して予習する(2時間),復習:藻類にとっての光量・光質の重要性を理解する(2時間)
III-2. 光質と海藻の垂直分布 ・予習:緑藻,紅藻,褐藻の光質への適応方法に関して予習する(2時間),復習:光質が藻類の垂直分布に及ぼす影響を理解する(2時間)
III-3. 藻場の生産力 ・予習:藻場の生産力と更新過程に関して予習する(2時間),復習:沿岸生態系における藻場の特徴と役割を生産力の観点から理解する(2時間)
IV-1. 磯焼けとその対策 ・予習:磯焼けとその要因に関して予習する(2時間),復習:三重県の磯焼けの実態と対策手法について理解する(2時間)
IV-2. 海藻の利用 ・予習:世界で養殖されている海藻種に関して予習する(2時間),復習:ノリ養殖の歴史と手法,三重県のヒトエグサ養殖について理解する(2時間)

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