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科目の基本情報

開講年度 2020 年度
開講区分 人文学部法律経済学科・社会科学科
受講対象学生 法律経済学科専用
学部(学士課程) : 3年次
選択・必修
授業科目名 計量経済学演習
けいりょうけいざいがくえんしゅう
Independent Study in Econometrics
単位数 4 単位
ナンバリングコード
humn-laec3240-018
開放科目 非開放科目    
開講学期

通年

開講時間 月曜日 7, 8時限
開講場所

担当教員 嶋恵一

Keiichi Shima

SDGsの目標

学修の目的と方法

授業の概要  経済学の使命は企業や個人の行動を数学的な理論を用いて解明することだと思います。他方、計量経済学の使命は、数理統計学を応用し、その理論上の解を実際のデータを用いて分析することだといえます。企業間競争や投資などを理論的に解明し、その理論上の解が妥当かを観察されるデータにより判定することを実証研究と呼びます。それが計量経済学の研究分野になります。
 例えば、ファイナンスは企業や個人の行動を金融面から分析する研究分野で、その行動を数学的に理論付け、解の特徴からその行動の合理性を吟味します。その理論を観察されるデータを用いて検証することが計量経済学の役目になります。経済データを用いて実証研究を行う際、データの特徴を探る上で、どのような統計分析手法が適切か、またどのような推測方法や検証基準を用いるべきかについて、数理統計学の概念を応用します。専門演習では上場企業の役員報酬に関する実証分析を行います。
学修の目的 計量経済学、数理統計学を応用し、ファイナンス系のミクロデータを用いた実証研究に精通すること
学修の到達目標 時系列、クロスセクションデータを用いた実証研究に精通すること
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
 法律・政治・経済・経営の諸分野において、専門的知識と豊かな教養を身につけている。
 現代社会について、専門的知識に基づいて論理的に考え、総合的に判断できる。
 法律・政治・経済・経営の諸分野を広く学び、学際的視点で問題を探究できる。
 現代社会の課題に挑戦する積極性を備える。
 自ら学んだ知を的確に発信し、国際社会と地域社会の発展に貢献できる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  •  主体性
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  • ○表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

成績評価方法と基準  3年次演習では実証研究を行い、その研究結果を卒業研究として執筆するため、その作業により成績評価を行います。
 ただし、以上に関する十分な成果が見られない場合、研究に対する努力と報告とに基づき筆記試験を行い評価します。筆記試験は数学を用います。60点以上に対して単位認定します。数学を不得意とする学生は留年するリスクがありますので、受講をお勧めできません。
授業の方法 演習

授業の特徴

PBL

特色ある教育

英語を用いた教育

教員と学生、学生相互のやり取りの一部が英語で進められる授業
教員と学生のやり取りは日本語でも、英語による論文や教材の講読を含んだ授業
授業改善の工夫
教科書  2年次の演習所属決定後、次の書籍から選び購入し、3年次の演習開始まで予習を行います:
[1] 統計学入門、1992、稲垣宣生、山根芳知、吉田光雄、裳華房
[2] 石村園子、2006、やさしく学べる統計学、共立出版
[3] 薩摩順吉、2019、確率・統計(理工系の数学入門コース新装版)、岩波書店
 演習開始後は、次の論文を読み、実証研究の基礎を習得します:
[1] Kaplan, S.N., 1994. Top executive rewards and firm performance: A comparison of Japan and the United States. Journal of Political Economy, 102(3), pp.510-546.
http://www.jstor.org/stable/2138621
[2] Kato, T., & Kubo, K., 2006. CEO compensation and firm performance in Japan: Evidence from new panel data on individual CEO pay. Journal of the Japanese and International Economies, 20(1), pp.1-19.
http://doi.org/10.1016/j.jjie.2004.05.003
[3] Mehrotra, V., Morck, R., Shim, J., & Wiwattanakantang, Y., 2013. Adoptive expectations: Rising sons in Japanese family firms. Journal of Financial Economics, 108(3), pp.840-854.
https://doi.org/10.1016/j.jfineco.2013.01.011
[4] Anderson, R. C., & Reeb, D. M., 2003. Founding family ownership and firm performance: Evidence from the S&P 500. The Journal of Finance, 58(3), 1301-1328.
https://doi.org/10.1111/1540-6261.00567
参考書 実証分析を行う際、次を参考にします:
A. 計量経済学のテクニック:
[1] W.Greene, Econometric Analysis 8th, Pearson
http://people.stern.nyu.edu/wgreene/Text/econometricanalysis.htm
[2] J.H.Stock & M.W.Watson, 2019, Introduction to Econometrics, 4E, Pearson
https://scholar.harvard.edu/stock/pages/introduction-econometrics
B. ソフトウェアマニュアル:
[3] M.J.Crawley, 2012, The R Book, 2E, Wiley
[4] R.Lucchetti & A.Cottrell, 2016, Gretl - Gnu Regression, Econometrics and Time-series Library, Samurai Media
オフィスアワー Walk-in に関しては研究室で随時行います:電子メールによる予約可
受講要件  近代経済学、計量経済学を履修済みであることを前提に専門演習を行います。演習所属の確定後、2年次において数理統計学の教科書を指定し、独習を義務付けます。
予め履修が望ましい科目 教養教育(教養統合科目、現代科学理解)の次の二科目:
数理科学H(やさしい統計学)
数理科学E(組み合わせ論・確率)
発展科目
その他

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード データ分析、統計推論、仮説検定、回帰分析、質的選択、ファイナンス、行動経済学
Key Word(s) data analysis, statistical inference, hypothesis testing, regression, binary choice, finance, behavioral economics.
学修内容  2年前期、演習決定後に統計学の自習に関する課題を与えます。2年次末までに統計学と計量経済学の基礎を自習により修得し、3年次から研究を開始します。研究内容はこちらから指定し、上場企業の役員報酬に関する実証分析を行います。次の通り、理系のやり方で専門演習を進めます。
 3年前期では英語の先行研究論文を読み、報告してもらい、前提理論を踏まえます。論文は以下の通りです:
[1] Kaplan, S.N., 1994. Top executive rewards and firm performance: A comparison of Japan and the United States. Journal of Political Economy, 102(3), pp.510-546.
http://www.jstor.org/stable/2138621
[2] Kato, T., & Kubo, K., 2006. CEO compensation and firm performance in Japan: Evidence from new panel data on individual CEO pay. Journal of the Japanese and International Economies, 20(1), pp.1-19.
http://doi.org/10.1016/j.jjie.2004.05.003
[3] Mehrotra, V., Morck, R., Shim, J., & Wiwattanakantang, Y., 2013. Adoptive expectations: Rising sons in Japanese family firms. Journal of Financial Economics, 108(3), pp.840-854.
https://doi.org/10.1016/j.jfineco.2013.01.011
[4] Anderson, R. C., & Reeb, D. M., 2003. Founding family ownership and firm performance: Evidence from the S&P 500. The Journal of Finance, 58(3), 1301-1328.
https://doi.org/10.1111/1540-6261.00567
 その後、実証研究に必要なデータの収集と加工処理を行います。研究に用いるデータは次の通りです:
年収1億円超の上場企業役員、上位500人リスト:2018年5月~2019年4月に本決算を迎え、1億円を超える役員報酬を得た役員を有価証券報告書で開示した上場企業
https://toyokeizai.net/articles/-/300150
年収1億円超の上場企業役員トップ500人:2017年5月~2018年4月の本決算企業
https://toyokeizai.net/articles/-/236206
年収1億円超の上場企業役員530人リスト:2015年5月~2016年4月の本決算企業
https://toyokeizai.net/articles/-/177387
 以上の準備を前期で終え、夏季休暇には計量経済分析のソフトウェアを用いて、実証研究を行います。3年後期には分析結果に基づき卒業研究論文を書きます。
事前・事後学修の内容  上述の通り、2年前期、演習決定後に統計学の自習に関する課題を与えます。2年次末までに数理統計学と計量経済学の基礎を事前学修し、3年次から研究を開始します。
 3年前期では上記の論文を読み、前提理論を踏まえた後に、実証研究に必要なデータの収集と加工処理を行います。夏季休暇には計量経済分析のソフトウェアを用いて、統計学に基づく分析を行います。3年後期には分析結果に基づき卒業研究論文を書きます。すべて、その大半は講義外の学修です。

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