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開講年度 | 2020 年度 | |
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開講区分 | 工学研究科(博士前期課程)分子素材工学専攻 | |
領域 |
主領域 : F 分子素材工学専攻指定 |
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受講対象学生 |
大学院(修士課程・博士前期課程・専門職学位課程) : 1年次, 2年次 |
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選択・必修 | 選択 |
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授業科目名 | 分子素材工学特別講義Ⅰ | |
ぶんしそざいこうがくとくべつこうぎ いち | ||
Topics in Chemistry for Materials Ⅰ | ||
単位数 | 1 単位 | |
ナンバリングコード | EN-PHCH-5
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開放科目 | 非開放科目 | |
開講学期 |
前期集中 |
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開講時間 |
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開講場所 | ||
担当教員 | 椎名 勇(非常勤講師:東京理科大学教授) | |
SHIINA Isamu | ||
SDGsの目標 |
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授業の概要 | 【講義タイトル】カルボン酸関連化合物を利用した分子素材合成 カルボン酸とアルコールの脱水縮合によるエステル化は基本的な合成手段であるが、分子内反応で普通環(5〜7員環)以外のラクトンを得ることは一般に困難である。しかしながら天然には普通環以外のラクトンが普遍的に存在している。これらの化合物を人工的に合成するための手法、ならびに関連するカルボン酸誘導体の光学活性体の合成に関する講義を行う。 |
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学修の目的 | 天然に存在するラクトン等のカルボン酸誘導体の合成原理を把握するとともに、その手法により合成される生物活性有機化合物の利用法を理解する。 |
学修の到達目標 | ラクトン等のカルボン酸誘導体の合成法を熟知し、それらが現代の医薬品製造産業ならびに医療診断技術等でどの様な重要性を持つか理解する。 |
ディプロマ・ポリシー |
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成績評価方法と基準 | 出席およびレポートにより評価する。 |
授業の方法 | 講義 |
授業の特徴 | |
授業改善の工夫 | |
教科書 | 参考資料をプリントとして配布します。 |
参考書 | なし |
オフィスアワー | |
受講要件 | なし |
予め履修が望ましい科目 | |
発展科目 | |
その他 |
MoodleのコースURL |
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キーワード | エステル、アミド、ラクトン、ラクタム、抗生物質、抗がん剤、2-メチル-6-ニトロ安息香算無水物、MNBA |
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Key Word(s) | ester, amide, lactone, lactam, antibiotics, antitumor agent, 2-methyl-6nitrobenzoic anhydride, MNBA |
学修内容 | (あ)項目1「置換安息香酸無水物法の開発」 カルボン酸とアルコールの脱水縮合によるエステル化は基本的な合成手段であるが、分子内反応で普通環(5〜7員環)以外のラクトンを得ることは一般に困難である。ラクトン合成を容易にした技術「置換安息香酸無水物法」の開発の経緯を概説する。 (い)項目2「エリスロマイシンの化学/ボトシニンおよびボトシノリドの不斉全合成」 置換安息香酸無水物法の適用基質としてエリスロマイシン前駆体を選び、分子内脱水縮合反応の性能評価を行う。一方、不斉アルドール反応によるキラル鎖状分子の合成と置換安息香酸無水物法をともに活用し、抗菌活性化合物ボトシニンの全合成を試みる。さらに、天然9員環ラクトン“ボトシノリド”提案構造式の存在の有無を検証する。 (う)項目3「エポキシキノールの化学(計算化学による考察)」 血管新生阻害活性を有するキノン系高酸化化合物エポキシキノールの生合成経路を計算化学によって考察する。様々な立体異性体の混在が予想されるエポキシキノール類はなぜ2種類しか天然に存在しないのか? 計算化学の導入により有機合成化学/天然物化学で観測された結果を検証する。 (え)項目4「β−ラクトンの合成/THLの不斉全合成」 置換安息香酸無水物法を用いて4員環ラクトンの合成を試みる。計算化学の導入により、各基質間の反応性の違いを大まかに見積もることが可能になる。抗肥満薬テトラヒドロリプスタチン(THL)の不斉全合成をデモンストレーションとして実施し、分子内脱水縮合による4員環ラクトン合成法の有効性を評価する。 (お)項目5「ゴルジ体阻害活性化合物M-COPAの不斉全合成」 ICAM-1機能抑制作用を有する天然物誘導体AMF-26は、がん発現タンパク質の輸送阻害剤として開発が進んでいる。不斉アルドール反応、分子内Diels−Alder反応(IMDA反応)、および分子間脱水縮合反応により人工物2-メチル-N-(3-ピリジルメチル)-1-O-デメチルコプロフィリンアミド(M-COPA)の不斉全合成を実施し、薬理機能評価を行った。 (か)項目6「不斉エステル化反応の開発」 [(か)は全体の講演会] 「置換安息香酸無水物法」の新たな展開として、遊離のカルボン酸とアルコールとの脱水縮合を伴う不斉合成反応の開発を試みた。4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)に代わりベンゾテトラミソール(BTM)を不斉求核触媒として用いることで予期したようにラセミ第2級ベンジル性アルコールの速度論的光学分割が実現された。計算化学による遷移状態解析を通じて、従来報告のなかったラセミα−ヒドロキシエステル類やラセミα−ヒドロキシラクトン類のほぼ完全な速度論的光学分割を達成した。本法によればラセミアルコールのみならずラセミカルボン酸も速度論的に光学分割され、究極の手段として動的速度論的光学分割反応の開発に至った。 (補遺) イントロダクションとして、不斉アルドール反応の解説も行う。 |
事前・事後学修の内容 |