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科目の基本情報

開講年度 2019 年度
開講区分 工学研究科(博士前期課程)機械工学専攻
領域 主領域 : D; 副領域 : F
受講対象学生 大学院(修士課程・博士前期課程・専門職学位課程) : 1年次, 2年次
選択・必修
授業科目名 生体材料工学特論
せいたいざいりょうこうがくとくろん
Biomaterials Science
単位数 2 単位
ナンバリングコード
EN-SYST-5

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※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。

開放科目     
開講学期

前期

開講時間 木曜日 5, 6時限
開講場所

担当教員 吉川高正(工学研究科機械工学専攻)

YOSHIKAWA, Takamasa

学修の目的と方法

授業の概要 生体材料および医用機器などを例にとり,合理的な研究開発・設計のための評価方法の構築と,評価方法の適正評価(品質工学)について学ぶ.
学修の目的  生体材料とは広義に生体もしくは生体を構成する要素と接触して用いられる材料である.生物由来の素材から工業的に用いられる金属,セラミクス,高分子など人工的な素材が生体材料として応用が期待され,多様な材料開発が飛躍的に展開されている.
 生体材料の材料設計および生体材料を利用した機器やインプラントの研究開発・設計では,目的とする機能性の実現のみならず,生体適合性や力学的適合性,生体内耐久性といった安全性や安定性に関する過酷な制約が要請される.さらに,要求される機能や制約ばかりでなく,設計因子は通常多岐にわたり,個々の評価指標の判断だけでは目的とする材料や機器・器具の実現に結びつけることが困難であることが多い.また,規格化・標準化されてきた工業用材料や機械と異なり,ソフトマテリアルや多孔質材料は性能や品質の評価自体が確立されておらず,さらに,生体と接触する生体材料は,生体との相互作用や生体自体の個体差の影響によって評価にばらつきが現れやすい.このような課題は,必ずしも生体材料に限らず,省資源化や高効率化,低コストといった制約の上で非常に高機能な機械や材料の実現が要求される現代工業においても同様に日常的に直面する課題である.すなわち,多岐にわたる性能指標や品質変量,設計因子,誤差要因に対して,合理的に研究開発・設計を進捗させる指針が必要となる.
 品質工学は,進捗させるべき目的を単一の評価指標(機能)で表現し,多岐にわたる性能や品質の判断が構築された機能で代表しうるか否かを較正する「評価指標を評価する方法」を提示する.構築された機能が,個別の性能や品質を齟齬なく表現できたとき,設計因子(制御因子)と誤差要因(誤差因子)による効果を適切に調査できるとするものである.また,多種にわたる設計因子と誤差要因に関する効率的で合目的的な調査手法を提示することで,目的達成を合理的に進捗させる指針を提示するものである.
 本講義によって,諸々の産業において実務上有益な品質工学の概念と手法の基礎が理解できる.修士課程の研究や機械技術者としての開発・設計業務における技術要素の特性を見出す方法が得られる.
学修の到達目標 生体材料もしくは生体材料を利用した機器の研究開発・設計における指針が説明できる.
技術開発・設計における「目的」を具体的に理解できるようになる.「目的」を数量化し,研究開発・設計などの行為の成果を定量化できる意義がわかるようになる.評価指標の適正を評価する方法が理解できるようになる.実験方法を合目的的に計画する意義(実験計画法)が理解できるようになる.
データにおける誤差および許容差について説明できるようになる.また,誤差因子実験が理解でき,評価のばらつきに関する対処方法について検討することができる.
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
○ JABEE 関連項目

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  • ○主体性
考える力
  • ○幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  • ○社会人としての態度・倫理観

成績評価方法と基準 出席,演習課題
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

英語を用いた教育

授業改善の工夫 スライド・プレゼンテーション形式で授業を行うが,都度,受講者の携わる研究をもとに,具体性と実感を得られるように努める.講義の進捗に従って,各論で学んだ解析やメソッドが,研究などで応用できるように努める.
教科書
参考書 バイオメカニクス概説(日本機械学会編,オーム社1993)
品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発(久米正明,日本規格協会,1999)
品質工学講座1 開発・設計段階の品質工学(吉澤正孝,日本規格協会,1988)
品質工学講座4 品質設計のための実験計画法(横山巽子,日本規格協会,1988)
多変量解析法入門(永田靖,棟近雅彦,サイエンス社,2001) 等.
オフィスアワー 毎週木曜日16:20~17:10.
受講要件
予め履修が望ましい科目
発展科目 生体材料工学演習,固体力学特論,固体力学演習,バイオメカニクス特論
その他

授業計画

各回
共通
MoodleのコースURL
第1回 概要 生体材料の研究・開発の手法と考え方
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:生体材料の開発を例にとり,研究・開発や機械設計を含めたものごとの進め方について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 生体材料(bio-material),研究開発(R&D,research and development),設計(design),技術(technology),解法(solution)
事前学修の内容 生体に関する工学における生体材料工学,生体力学,生体工学の関連性について概観しておく.三輪敬之編「生体工学シリーズI 生体機械工学」(裳華房),片岡和則編「生命工学シリーズIII 生体材料工学」(裳華房),岡野光夫「バイオマテリアル」(東京化学同人)の各序章が参考になる.
各種辞典等を複数用いて「目的」,「目標」の違いについて考察しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
再度,「目的」,「目標」の違いについて考察しておく.
自由記述欄
第2回 概要 研究・開発・設計における「目的」
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:第1回講義で述べたものごとの進め方に対する一つの方法論として以降の講義で品質工学について紹介していく.
品質工学で行う「目的」の定量化に先立ち,「目的」の意味を定義する.
また定量化された目的の進捗を測るという観点から「計測」について考える.
キーワード(Key Word(s)) 目的(purpose),顧客(client),性能(performance,efficient),目標(target),計測(measurement),品質工学(quality engineering)
事前学修の内容 「目的」,「目標」の違いについて考察しておく.
計測(測定)について,考察しておく.N.C.バーフォード「実験精度と誤差」(丸善)が参考になる.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
研究室などで携わっている研究課題について,講義で述べた目的を検討してみる.
自由記述欄
第3回 概要 目的の定式化(1)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:技術課題の解決が,顧客の願望にもとづくものであり,原理の解明とは異なることを述べる.
明示されない顧客の願望を定量化する「特性値」について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 顧客(client),性能(performance,efficient),目標(target),計測(measurement),特性値(characteristic value,specific value)
事前学修の内容 第2回の内容をレジメを参照にして復習しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
自由記述欄
第4回 概要 目的の定式化(2)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:顧客が「特性値」の増大を意図して投入する投資としての「信号」について述べ,顧客の願望を技術的定量値としてあらわした特性値と信号の関係,「機能」について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 機能(function),特性値(characteristic value, specific value),信号(signal)
事前学修の内容 第2回,第3回の内容をレジメを参照にして復習しておく.
参考書指定した吉澤著,「品質工学講座1 開発・設計段階の品質工学」(日本規格協会)の機能に関する項目を確認しておくとよい.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
久米著,「品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発」(日本規格協会)の事例について,機能に関する項目を熟読し,特性値と信号,顧客の願望とのかかわりを考察する.
自由記述欄
第5回 概要 SN比基礎(1)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:品質工学におけるSignal-Noise比について述べる.
信号に対する特性値の出力傾向において,評価すべき因子を明確化し,目的に対する進捗を判定するための定量値を検討する.
キーワード(Key Word(s)) SN比(SN ratio,signal-Noise ratio),性能(performance),ばらつき(dispersion),評価(estimation)
事前学修の内容 最小二乗近似法について復習しておく.機械工学科学部においての機械工学実験及び実習IまたはIIのテキストが参考になる.より理解を深める場合は,田島,小牧著「最小二乗法の理論とその応用」(東洋書店)が参考になる.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
自由記述欄
第6回 概要 SN比基礎(2)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:品質工学におけるSignal-Noise比について,算出の数理を述べる.
分散分析の手順を述べる.
キーワード(Key Word(s)) SN比(SN ratio,signal-Noise ratio),分散分析(analysis of variance),分散(variance),最小二乗法(least squares method),機能(fanction),機能性(functionality)
事前学修の内容 最小二乗近似法について復習しておく.機械工学科学部においての機械工学実験及び実習IまたはIIのテキストが参考になる.より理解を深める場合は,田島,小牧著「最小二乗法の理論とその応用」(東洋書店)が参考になる.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
最小二乗法をよく復習するとともに,講義の内容に照らして,誤差因子の無い場合の基本的なSN比の算出方法を自分自身で実行できるように復習しておく.
小西著「品質工学講座3 品質評価のためのSN比」(日本規格協会)が参考になる.
自由記述欄
第7回 概要 誤差因子
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:ばらつきの原因となる外乱について述べる.顧客の望まない出力特性としてのばらつきを低下させる品質向上のための開発方法について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 機能(function),性能(performance),ばらつき(dispersion),誤差(error),外乱・ノイズ(noise),品質(quality)
事前学修の内容 計測/測定結果におけるばらつきについて熟考しておく.研究室所属受講者については,担当している研究テーマにおけるばらつきや誤差についてよく考えておく.N.C.バーフォード「実験精度と誤差」(丸善)が参考になる.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
誤差因子について,講義に照らして復習しておく.田口著「実験計画法 上」(丸善)が非常に参考になる.
自由記述欄
第8回 概要 誤差因子を用いた実験
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:性能のばらつきを低減させるために調査すべき方法について述べる.N増し実験の意味と,性能のばらつきを低減させることを目的とした誤差因子実験の差を述べる.
キーワード(Key Word(s)) 誤差因子(noise factor),機能(function),ばらつき(dispersion),誤差(error),外乱・ノイズ(noise),品質(quality),N増し(Larger sample sizes)
事前学修の内容 第7回講義についてレジメを参考にしながらよく復習しておく.
データのばらつきについて,学部における基礎教育科目「工業数学V」の確率・統計論を復習しておく.ただし,ばらつきを低減させることとばらつきを測ることが異なる意味を持つことが説明されることを想定しておく必要がある.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
研究室所属受講者については,担当している研究テーマにおいて,最大のばらつきを生じうる誤差因子について想定する.
久米著,「品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発」(日本規格協会)の事例について,誤差因子の設定を熟考してみる.
自由記述欄
第9回 概要 誤差因子条件下でのSN比
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:第5回,第6回講義において説明されたSN比の計算方法について,誤差因子の分散分析の考え方とSN比の算出方法を述べる.
キーワード(Key Word(s)) 分散分析(analysis of variance),分散(variance),最小二乗法(least squares method),誤差因子(noise factor),機能(function)
事前学修の内容 第5回,第6回,第8回講義について十分に復習しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
講義において展開された計算を,各自に想定した誤差因子,各水準数に対して展開することで,誤差因子条件の自由な設定ができるようにしてみる.久米著,「品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発」(日本規格協会)または田口著「実験計画法 上」(丸善)の事例から因子数と水準数の例題を設定するとよい.
自由記述欄
第10回 概要 品質工学の定義と役割
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:品質工学の広義の定義にもとづいて,第2回講義から第9回講義の内容を包括的に概観する.目的達成のためのアプローチの効果を判断するために考案された定量的評価方法自体の妥当性の評価について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 評価の評価(assessment for estimation),較正(calibration),品質工学(quality engineering)
事前学修の内容 機械工学科学部においての機械工学実験及び実習IまたはIIのテキストにおける較正に関する項目を復習しておく.計測工学等で扱う較正作業の基本的概念を理解しておくとよい.
第2回~第9回講義の内容を十分に復習しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
自由記述欄
第11回 概要 制御因子
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:目的達成のために担当者が実施するアイデアについて述べる.アイデアの創出技法ではなく,アイデアに要請される条件について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 制御因子(control factor),アイデア(idea),信号(signal),顧客(client),誤差因子(error factor),外乱(noise),交互作用(interaction)
事前学修の内容 久米著,「品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発」(日本規格協会)または田口著「実験計画法 上」(丸善)の事例において制御因子について概観し,信号や誤差因子に対して主体者が異なることを把握しておくとよい.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
研究室などで担当している研究テーマに対して,信号や誤差因子と混同しないように気を付けながら,制御因子をなるべく多く考案してみる.
自由記述欄
第12回 概要 直交表
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:アイデアの効果を調査する実験計画の条件設定方法について述べる.多元配置条件設定の数理的意味と,直交表の相関を述べる.
キーワード(Key Word(s)) 直交表(orthogonal array),多元配置(multi-way array),実験計画法(experimental design method),直交性(orthogonality)
事前学修の内容 2種類以上,かつ各種類2水準以上の制御因子(アイデア)の効果について調査するときに,どのような規模の実験条件が設定されるかを考えておく.各2水準11種類の制御因子や3水準8制御因子の規模を想定してみるとよい.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
研究室などで担当している研究テーマに対して,第11回講義後の事後学習で想定した制御因子について,直交表を用いて規模を想定してみる.
自由記述欄
第13回 概要 要因効果の評価方法と要因効果図
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:直交表および多元配置条件表における,アイデアの効果の定量的抽出方法について述べる.
キーワード(Key Word(s)) 要因効果図(graph of factorial effects,response graph),主効果(main effect)
事前学修の内容 第12回の内容について十分に理解しておく.特に制御因子列間の直交関係についてよく復習しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
久米著,「品質工学応用講座 化学・薬学・生物学の技術開発」(日本規格協会)または田口著「実験計画法 上」(丸善)の事例を用いて,実際に自分で要因効果図を作成してみるとよい.
自由記述欄
第14回 概要 再現性(1)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:品質工学の広義の定義において重要視される機能の再現性について述べる.再現性に関する確認の方法を述べる.
キーワード(Key Word(s)) 再現性(reproducibility),確認実験(confirmation run),最適条件(optimum condition)
事前学修の内容 第2回~第4回および第11回の講義内容をレジメにもとづいて十分に復習しておく.また再現性の評価方法においては,第9回を理解しておくことが望ましい.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
第13回の事後学修において実施した,参考書の要因効果図から,確認実験条件を設定してみるとよい.
自由記述欄
第15回 概要 再現性(2)
授業時間内の学修内容 講義形式:スライド
講義内容:品質工学の広義の定義において重要視される機能の再現性について述べる.再現性で評価された結果の意味について考える.
キーワード(Key Word(s)) 再現性(reproducibility ),確認実験(confirmation run),許容差(tolerance),顧客(client),機能の評価(assessment for function),較正(calibration)
事前学修の内容 第14回の内容を復習しておく.
事後学修の内容 配布されたレジメの空欄を埋めておく.
講義された内容をもとに,研究テーマなどをもとに実験計画を行ってみる.
本講義で説明されなかったチューニング等の方法については,参考書類を参考にするとよい.
自由記述欄

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