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開講年度 | 2019 年度 | |
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開講区分 | 人文学部文化学科 | |
受講対象学生 |
2012年度以降入学生用(文化) 学部(学士課程) : 2年次, 3年次, 4年次 |
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選択・必修 | ||
授業科目名 | ドイツ文学演習 D | |
どいつぶんがくえんしゅう D | ||
Seminar on German Literature D | ||
単位数 | 2 単位 | |
受講対象学生 |
2011年度以前入学生用(文化) 学部(学士課程) : 5年次, 6年次 |
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選択・必修 | ||
授業科目名 | ドイツ文学演習 D | |
どいつぶんがくえんしゅう D | ||
Seminar on German Literature D | ||
単位数 | 2 単位 | |
ナンバリングコード | HU-CLTR2
※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。 |
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開放科目 | 非開放科目 | |
開講学期 |
後期 |
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開講時間 |
水曜日 7, 8時限 |
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開講場所 | ||
担当教員 | 籠 碧(人文学部) | |
KAGO, Midori |
授業の概要 | 20世紀前半に活躍したユダヤ系作家シュテファン・ツヴァイクの小説『永遠の兄の目』(1922)を題材に、倫理の問題を考えます。この作品はインドの聖典バガヴァッド・ギーターを下敷きにしています。第一次大戦後、それまでの価値観が崩壊し、ヨーロッパの知識人は進むべき道筋を見失いました。「どうしたら正しくあれるのか」考えたヨーロッパの人々は、その答えを、オルタナティブの思想の源泉として美化された「東洋」に求めたのです。「無私になって行動せよ」と命じるバガヴァッド・ギーターは、ツヴァイクばかりでなくフランスのシモーヌ・ヴェイユ、またイギリスに留学していたガンディーらにも受容されました。興味深いのは、行動を命じるギーターを翻案したツヴァイクの作品が、「間違った行動によって誰かのことを傷つけるのが怖いので自分だけの世界に引きこもる」という態度、つまり直観的にはギーターの要請とは真逆に思われる態度を、倫理的な解として提示しているかに見えることです。 ナチス・ドイツの時代を生きたツヴァイクは非政治的・逃避的な作家として知られていました。この作品はそうした姿勢の言い訳として捉えられます。ツヴァイクの逃避性は死後もなお激しい批判を浴びました。一方でその逃避性は、(もちろんそのユダヤ性の問題を考えると、同列視することには慎重であるべきとはいえ、)現代の日本を生きる私たちにとってもどこか身につまされるものがあるように思えます。 社会の諸問題に対する自分自身の態度を顧みるひとつのきっかけとして、この授業では『永遠の兄の目』を精読、また同時にギーターやヴェイユの思想を紹介します。 |
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学修の目的 | 一つのテクストに対するさまざまな受容のあり方について考えられるようになること。『永遠の兄の目』の読解や周辺事情の考察を通して、古典作品をごく身近な事柄と結びつけられるようになること。 |
学修の到達目標 | 『永遠の兄の目』の読解とツヴァイクの政治的態度の知識を得ることを通して自分と社会のかかわり方を考えられるようになること。 |
ディプロマ・ポリシー |
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成績評価方法と基準 | 授業中の演習課題(リアクションペーパー含む)50%。期末レポート50%。 |
授業の方法 | 演習 |
授業の特徴 |
問題提示型PBL(事例シナリオ活用含) プレゼンテーション/ディベートを取り入れた授業 その他、能動的要素を加えた授業(ミニッツペーパー、シャトルカードなど) |
授業改善の工夫 | |
教科書 | プリントを配布します。 |
参考書 | シュテファン・ツヴァイク『ツヴァイク全集4 レゲンデ』(西義之/大久保和郎 訳)みすず書房 1974年。 『バガヴァッド・ギーター』(上村勝彦 訳)岩波文庫 1992年。 その他、授業中に紹介します。 |
オフィスアワー | 木曜日15:00~16:00 できるだけ事前に連絡してください。 |
受講要件 | ドイツ語初級の授業を履修済み、もしくは同等の知識を持っていること。 |
予め履修が望ましい科目 | 異文化理解(ドイツ語)I |
発展科目 | |
その他 |
MoodleのコースURL |
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キーワード | ドイツ語、ドイツ語圏文学、間テクスト性、倫理 |
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Key Word(s) | |
学修内容 | 『永遠の兄の目』読解では邦訳も使いはしますが、読みどころは抜粋してドイツ語での精読を行います。また適宜ディスカッションの時間を設けます。 第1~2回 導入(シュテファン・ツヴァイクの紹介、『永遠の兄の目』あらすじ紹介、オリエンタリズムの問題) 第3回 『バガヴァッド・ギーター』を日本語で読む 第4回 シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』を日本語で読む 第5~12回 ツヴァイク『永遠の兄の目』をドイツ語で読む 第13回 ツヴァイクの伝記小説(エラスムスとカステリオン)の紹介 第14回 ハンナ・アーレントのツヴァイク批判『昨日の世界のユダヤ人』を日本語で読む 第15回 まとめ 授業の進度、履修者数によって予定変更する場合があります。 |
事前・事後学修の内容 | 『永遠の兄の目』はドイツ語で輪読するので、必ず予習して出席してください。 |