三重大学ウェブシラバス


シラバス表示

 シラバスの詳細な内容を表示します。

→ 閉じる(シラバスの一覧にもどる)

科目の基本情報

開講年度 2019 年度
開講区分 人文学部文化学科
受講対象学生 2012年度以降入学生用(文化)
学部(学士課程) : 2年次, 3年次, 4年次
選択・必修
授業科目名 ドイツ文学演習 C
どいつぶんがくえんしゅう C
Seminar on German Literature C
単位数 2 単位
受講対象学生 2011年度以前入学生用(文化)
学部(学士課程) : 5年次, 6年次
選択・必修
授業科目名 ドイツ文学演習 C
どいつぶんがくえんしゅう C
Seminar on German Literature C
単位数 2 単位
ナンバリングコード
HU-CLTR2

ナンバリングコード一覧表はこちら

※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。

開放科目 非開放科目    
開講学期

前期

開講時間 水曜日 7, 8時限
開講場所

担当教員 籠 碧(人文学部)

KAGO, Midori

学修の目的と方法

授業の概要  1910年代、ドイツ語圏の前衛芸術家たちは精神疾患者と自分を重ね合わせ、精神疾患者は時に「天才」と祭り上げられることもありました。代表的なテクストがヴィーラント・ヘルツフェルデのエッセイ『精神疾患者たちの倫理』(1914)です。文学研究者にはこうしたテクストから、マイノリティに対する今にも通じる倫理観を引き出そうとする傾向があります。一方この時代の精神疾患をめぐる言説の中で最重要といえるテクストが、精神医学者アルフレート・ホッヘと法学者カール・ビンディングの共著『生きるに値しない命を抹殺する行為の解禁』(1920)です。このパンフレットで連発される「生きるに値しない命」という罵倒語や「生産性」に基づいて人間の選抜をはかる姿勢は、ナチス・ドイツが1930~40年代に精神疾患者を虐殺する下地を作りました。
 この授業では一見すると真逆の方向を向いた同時代の二つのテクストを読み、1910~20年代のドイツ語圏における精神疾患者をめぐる言説について考えます。
学修の目的 主なポイントは二つ。(1)『生きるに値しない命を抹殺する行為の解禁』のテクストに書かれている言説が現在の日本で流布している言説と似通っていることに、危機感を持って注目すること。(優生思想はナチズムだけのものではないことを認識すること。)(2)精神疾患者を称揚しているがために無謬のものと受け止められやすい文学的テクストにもまた、「他者化」「ステレオタイプ・イメージの構築」という問題が潜んでいることに気づくこと。
学修の到達目標 ドイツ語圏、ヨーロッパにおける精神疾患者をめぐる言説、歴史について知識を得ること。およそ100年前に書かれたテクストを通して現代社会を批判的に顧みる力をつけること。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
○人文科学の諸分野の専門的知識と豊かな教養を身につけている。
○変動激しい現代社会について、専門的知識に基づいて論理的に考え、総合的に判断できる。
 人文科学諸分野の成果に基づき、世界各地域の固有の文化に関して、広い視野から探求できる。
○変動激しい現代社会に対する理解を基盤として、国際感覚に基づいて行動できる。
○自ら学んだ知を、口頭表現や文章表現によって的確に発信することができる。
 国際社会と地域社会の発展に貢献できる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  • ○主体性
考える力
  • ○幅広い教養
  •  専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  • ○実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  • ○社会人としての態度・倫理観

成績評価方法と基準 授業中の演習課題(リアクションペーパー含む)50%。期末レポート50%。
授業の方法 演習

授業の特徴

PBL

問題提示型PBL(事例シナリオ活用含)

特色ある教育

プレゼンテーション/ディベートを取り入れた授業
その他、能動的要素を加えた授業(ミニッツペーパー、シャトルカードなど)

英語を用いた教育

授業改善の工夫
教科書 プリントを配布します。
参考書 藤井克典『わたしで最後にして ナチスの障害者虐殺と優生思想』合同出版株式会社 2018年。
米本昌平/松原洋子/橳島次郎/市野川容孝『優生学と人間社会 生命科学の世紀はどこへ向かうのか』講談社 2000年。
関楠生『ヒトラーと退廃芸術 退廃芸術展と大ドイツ芸術展』河出書房新社 1992年。
サンダー・L・ギルマン『病気と表象 狂気からエイズにいたる病のイメージ』(本橋哲也 訳)ありな書房 1997年。
他、授業中に紹介します。
オフィスアワー 木曜日16:30~17:30
できるだけ事前に連絡してください。
受講要件 ドイツ語初級の授業を履修済み、もしくは同等の知識を持っていること。
予め履修が望ましい科目 共通教育の異文化理解(ドイツ語)I
発展科目
その他

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード ドイツ語、精神疾患、ナチス・ドイツ、表現主義文学、マイノリティ表象
Key Word(s)
学修内容 まず時代背景を説明し、必要に応じてドイツ語文法を復習したあと、『生きるに値しない命を抹殺する行為の解禁』と『精神疾患者たちの倫理』を読みます。補助的に邦訳を用意はしますが、基本的にドイツ語で精読するので辞書を使った予習が要ります。また適宜ディスカッションの時間を設けます。

第1~4回:精神疾患をめぐる言説史、歴史の概説(ロマン主義文学、写実主義文学、デカダン派、表現主義文学、退廃芸術展。変質論、優生思想、T4作戦。)
第5~6回:ドイツ語の復習
第7~10回:『生きるに値しない命を抹殺する行為の解禁』(ホッヘ記述分)をドイツ語で読む
第11~14回:『精神疾患者たちの倫理』をドイツ語で読む
第15回:まとめ
授業の進度、履修者数によって予定変更する場合があります。
事前・事後学修の内容 ドイツ語のテクストを読むさいには必ず予習して出席してください。

Copyright (c) Mie University