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科目の基本情報

開講年度 2019 年度
開講区分 生物資源学研究科(博士前期課程)生物圏生命科学専攻
受講対象学生 大学院(修士課程・博士前期課程・専門職学位課程) : 1年次, 2年次
選択・必修 選択必修
授業科目名 生理活性化学特論
せいりかっせいかがくとくろん
Advanced Biofunctional Chemistry
単位数 2 単位
ナンバリングコード
BO-AGCH-4

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※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。

開放科目 非開放科目    
開講学期

前期

開講時間 月曜日 1, 2時限
開講場所 生物資源学校舎232

担当教員 稲垣 穣(生物資源学部生物圏生命科学科)
増田 裕一(生物資源学部生物圏生命科学科)

INAGAKI, Minoru
MASUDA, Yuichi

学修の目的と方法

授業の概要 生物を構成する物質やそこで働く物質の殆ど全てが有機化合物であることから,生物は有機化学の原理に基づいて生きていると言える。従って,生物の体内で起こる出来事も,有機化学で説明できると考えることができる。また,生物の営みを有機化学的な観点から研究するには,生理活性物質を実際に手に入れる必要がある。その有効な手段の一つである有機合成を行うには,反応機構を深く理解する必要がある。
本授業は,生体内および有機合成における化学反応のメカニズムを学ぶことを目的としている。前半(第1~7回:稲垣担当)では,生命活動に大切な役割を持つ分子の有機化学的構造を知り,化学構造が分子の性質や反応に直接結びついていることを学ぶ。そして,分子がその機能を発揮するためにどのように反応するかを系統的に整理する。後半(第8~14回:増田担当)では,有機合成を行う上で重要な化学反応を学び,反応機構を書く問題演習を行う。
学修の目的 生命活動を理解するための物差しとして,有機化学の知識と考え方を磨き上げることを目指す。
生命活動に大切な役割を持つ分子の有機化学的な構造を知り,それらの分子の反応を電子の動きで理解する。
酵素反応反応機構を電子の流れで有機化学的に把握し理解する能力を養う。
化学平衡や反応速度,活性化自由エネルギーなどの物理化学的な視点も取り入れて,有機化学反応を考えることができる。
有機合成反応に用いる基質および反応剤の性質を考え,反応における電子移動の様子を理解する。
学修の到達目標 生化学反応を電子の動きで有機化学的に説明することができる。
アルドール反応やクライゼン反応など,生物の中で起こる生化学反応の特徴を試験管の中で行う有機合成反応と対応させて説明できる。
酵素反応をはじめとする,触媒とその意味を有機化学と物理化学を組み合わせて説明できる。
基本的な有機合成反応とそのメカニズムを覚える。
有機合成に用いる基質・反応剤の有機化学的な性質を理解する。
有機合成反応に伴う電子移動の様子を,自分で書けるようになる。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  • ○主体性
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  • ○心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

有機化学を得意とする者のレベルを徹底的に伸ばすための良質で判りやすい授業を目指す。将来の専門分野として,有機化学を身につけたい,やる気のある諸君の受講を待っています。

成績評価方法と基準 課題60%,定期試験40%,計100%のうち,60%以上の得点を獲得した者を合格とする。
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

反転授業
Moodleを活用する授業

英語を用いた教育

授業改善の工夫 親しみやすくかつ洗練された授業を目指す。Moodleを活用して,講義内容の予告や再録など,授業時間外の自習学習の支援を充実させる。
教科書 教科書は指定しない。講義資料を紙媒体あるいは,Moodleを利用して電子媒体で配布する。
参考書 ヴォート基礎生化学第4版(D. Voetほか著,田宮信雄ほか訳,東京化学同人),生化学(E.E. Conn, P. K. Stumpf著,田宮信雄,八木達彦訳,東京化学同人),デュガス生物有機化学(H. Dugas著,井本泰治ほか訳,シュプリンガー), 酵素反応の有機化学(大野惇吉著,丸善),電子で考える有機化学(F.M.Menger, L. Mandell著,井上幸信訳,講談社サイエンティフィク),生物有機化学入門(奥忠武ほか著,講談社サイエンティフィク),現代有機化学(ボルハルト,ショアー著,古賀憲司ほか訳,化学同人),酵素 : 構造と反応機構(A. Fersht著 ; 今堀和友, 川島誠一訳,東京化学同人),生物有機化学概論(堀越弘毅ほか著,講談社サンエンティフィク),生化学反応機構(J. McMurryほか著,長野哲雄ほか訳,東京化学同人),タンパク質の構造と機能(G. A. Petsko, D. Ringe著, 横山茂之, 宮島郁子訳,メディカルサイエンスインターナショナル),これならわかる生物有機化学(太田博道著,三共出版).
オフィスアワー 随時受け付けますが,不在のこともあるので,事前連絡する方が確実です。
場所:生物資源665号室(稲垣),663号室(増田)
受講要件 受講に際して,基礎的な有機化学,物理化学,生化学を理解していることを前提とする。

[後半・増田担当の問題演習について補足] 学生によって有機化学の習熟度が大きく異なると予想されますが,それぞれのレベルに合った問題を出題するので,初心者でも気兼ねなく参加してください。
予め履修が望ましい科目 有機化学I,II あるいは,有機化学概論,物理化学,生物物理化学,微生物学,生物化学,生化学I,II
発展科目 生物機能化学,創薬化学,環境化学概論,タンパク質科学
その他 受講生は連絡や資料の授受のため,Moodle HPに必ず登録すること。有機化学に不慣れな者は,まず本講義を履修した後,有機化学の基礎を復習することを強く進める。個人で学習する場合は,アドバイスすることができるので,ぜひ相談してほしい。

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード 電子の動き,反応機構,生合成,代謝,酵素,酵素活性中心,立体化学,分子認識,水素結合,疎水結合,酸触媒塩基触媒,高エネルギー化合物,ATP生産,補酵素,糖,アミノ酸,タンパク質,遷移状態,活性化自由エネルギー,酵素阻害剤,基質特異性,遷移状態類似体,抗体触媒
Key Word(s) electron movement, reaction mechanism, biosynthesis, metabolism, enzyme, active center, stereo chemistry, molecular recognition, hydrogen bonding, hydrophobic interaction, acid catalysis, base catalysis, high energy compound, ATP synthesis, coenzyme, saccharide, amino acid, protein, transition state, activation free energy, enzyme inhibitor, substrate specificity, transition state analog, catalytic antibody
学修内容 1. ガイダンス,成績評価法,有機化学の基礎確認
   電子移動の約束と方法,反応機構の表し方
2. アルドラーゼと解糖系
   アルドール開裂と縮合,イミニウムとエナミンの形成,電子溜め
3. トランスケトラーゼとペントースリン酸経路
   チアミンピロリン酸の働き,極性転換の反応機構,アルドラーゼとの比較
4. クエン酸合成酵素
   TCA回路の役割,補酵素Aの働き,高エネルギー結合,クライゼン縮合の化学
5. 脂肪酸のβ酸化
   β酸化とエネルギー生産,アシルCoAの移送,クライゼン開裂の化学
6. 脂肪酸生合成
   マロニル-CoAの働き,脱炭酸とエノレート形成,クライゼン縮合の促進
7. 遷移状態アナログ阻害剤
   遷移状態と酵素反応機構,神経ガスの構造と毒性,科学者の使命と倫理
8. 有機合成反応1:求核置換反応と脱離反応
9. 有機合成反応2:アルケンとアルキンの反応
10. 有機合成反応3:カルボニル基への求核付加反応
11. 有機合成反応4:エノラートの化学
12. 有機合成反応5:芳香族の化学
13. 有機合成反応6:転移反応
14. 有機合成反応7:遷移金属触媒を使ったカップリング反応
15. 定期試験

※前半(1~7:稲垣担当)は,有機化学の習熟度に関係なく,反応機構の基礎から生体内反応への応用まで,幅広く学べる内容となっている。
※後半(8~14:増田担当)は,有機反応機構の問題演習を行う。それぞれの学生の有機化学の習熟度に合わせて,難易度が異なる問題を出題する。定期試験の問題は,初級者の難易度に合わせる。
事前・事後学修の内容 [前半(1~7)について]
・毎回の授業内容をまとめたワークを期日までに提出し,個人の課題点とする(予定)。
・予習・復習に役立つ資料がMoodleにアップロードされている

[後半(8~14)について]
・有機反応機構を考えてくる宿題を毎回3問ほど出題し,次回の授業で解説する。宿題の達成度から課題点を算出する。

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