三重大学ウェブシラバス


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科目の基本情報

開講年度 2018 年度
開講区分 工学部機械工学科 ・専門教育
受講対象学生 学部(学士課程) : 3年次
工学部機械工学科
選択・必修 選択
学科選択
授業科目名 応用電子論
おうようでんしろん
Applied Electron Theory
単位数 2 単位
他学部・他研究科からの受講 他学科の学生の受講可, 他学部の学生の受講可
市民開放授業 市民開放授業ではない
開講学期

前期

開講時間 水曜日 3, 4時限
開講場所

担当教員 小竹 茂夫(工学研究科機械工学専攻)

KOTAKE, Shigeo

学習の目的と方法

授業の概要 工学において、実際の材料がもつ様々な性質を理解することは、大変重要である。物の性質(物性)がどのように決まっているのか、材料によってどのように違うかを理解することは、機械エンジニアが適切な設計を行う上でも、機械の性能を理解するうえでも必須の知識となる。
本講義では、様々な物の性質を取り上げ、量子力学,電子論や統計力学、熱力学、電磁気学を背景とした物性論の理解を通して、それらの概要を講義する。基本的には式を追うだけの授業はせず、基本的な性質がどのような仕組みから発現するかの定性的な説明に心がけたい。
学習の目的 量子力学、電子論の理解が深まり、固体物理学を学ぶ基礎的能力が身に付く。
学習の到達目標 ・結晶構造を理解できる。
・イオン結合、共有結合、金属結合など、物質の結合様式が理解できる。
・固体内部の電子構造として、自由電子モデルやフェルミ面が理解できる。
・結晶による波の回折である固体のバンド構造やX線回折が理解できる。
・半導体のバンド構造や真性半導体、不純物半導体が理解できる。
・金属や半導体の電気伝導度やホール効果が理解できる。
・固体の界面や表面の物性である、ショットキー接合やp-n接合が理解できる。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
○ JABEE 関連項目

○ 全学の教育目標
感じる力
  • ○感性
  •  共感
  •  倫理観
  •  モチベーション
  • ○主体的学習力
  •  心身の健康に対する意識
考える力
  • ○幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的思考力
  • ○課題探求力
  • ○問題解決力
  •  批判的思考力
コミュニケーション力
  • ○情報受発信力
  •  討論・対話力
  •  指導力・協調性
  •  社会人としての態度
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○感じる力、考える力、コミュニケーション力を総合した力

感じる力=20%,考える力=60%,生きる力=20%

授業の方法 講義

授業の特徴 Moodle

教科書 オリジナルな授業を行うため,教科書は特に指定しないこととします.
高価なので必ずしも購入を必要としませんが,将来も持っていて役立つ図書として「固体物理学入門(上)および(下)」(キッテル著、丸善)を上げます.後期の「応用量子論」でも使いますので,やる気のある人は購入ください.
参考書 数多くの固体物理関連の教科書があるが、
入門書としては
「固体物性入門 例題・演習と詳しい解答で理解する」(沼居貴陽著、森北出版)や
「材料科学3」(C.R.バレット他著、培風館、絶版?)がよい。
また高度だが良い参考書として,「熱物理学」キッテル著,丸善がある.
この他にも,
したしむ固体構造論 (したしむ物理工学) 志村史夫著  朝倉書店  (Maruzen eBook Library)
したしむ電子物性 (したしむ物理工学) 志村史夫著  朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
したしむ表面物理 (したしむ物理工学) 志村史夫著  朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
したしむ磁性 (したしむ物理工学) 小林久理眞 著 朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
多体問題 ―電子ガス模型からのアプローチ―(朝倉物理学大系 9) 高田康民著  朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
多体問題特論 ―第一原理からの多電子問題―(朝倉物理学大系 15) 高田康民著  朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
納得しながら電子物性 (納得しながら学べる物理シリーズ 4) (※) 岸野正剛著  朝倉書店 (Maruzen eBook Library)
を挙げる.
成績評価方法と基準 レポート:p点(15点)、Moodle小テスト:q点(10点),期末試験:r点(75点)のp+q+rの点を総合的に評価する。60点以上を合格とする。
オフィスアワー 毎週月曜日12:20~14:30に機械棟2階小竹教員室にて対応。電子メールによる質問など歓迎
受講要件
予め履修が望ましい科目 この授業は「量子力学」の知識の上に実際の物質の性質を議論し、固体物理の分野に発展させる。
発展科目 学部では,「応用量子論」で,大学院では「固体物理特論」,「固体物理演習」,「極限物性特論」,「量子応用特論」,「固体熱力学演習」としてさらに詳しく学ぶ。
授業改善への工夫 Moodelにおいて受講後,小テストをおこなう。
小テストでは正誤問題を解くことで物性論の知識の定着を行う。
レジュメを毎回の授業で配る。
書画カメラを使い,毎回の授業ノートを公開する.
内容が豊富で難しいため,フォノンやフォトン,個々の物性論の話を次学期の「応用量子論」に移すこととした。
その他 ・講義の連絡はMoodleを通じて連絡しますので,登録を御願いします。
・レジュメは,Moodel内にpdfの形で置いてあります。なくした人は取って行ってください。

授業計画

第1回 概要 「物質の理解の歴史」
授業時間内の学習内容 「物質の理解の歴史」
キーワード(Key Word(s)) 物質の理解の歴史(History on material science)
事前学修の内容
事後学修の内容 1.気体の状態方程式を自分で導いてみてください.
2. 物質の発見史を簡単にまとめてください.
自由記述欄
第2回 概要 「固体内部の舞台:結晶格子」
授業時間内の学習内容 「固体内部の舞台:結晶格子」
キーワード(Key Word(s)) 結晶格子 (crystal lattice)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 純鉄(α Fe)の結晶構造およびこの結晶を構成する 元素の位置座標を述べよ.
2. マグネシウム(Mg)の結晶構造およびこの結晶を構 成する元素の位置座標を述べよ.
3. シリコン(Si)の結晶構造およびこの結晶を構成する 元素の位置座標を述べよ.
4. 純アルミ(Al)の結晶構造およびこの結晶を構成する 元素の位置座標を述べよ.
5. 食塩(NaCl)の結晶構造およびこの結晶を構成する 元素の位置座標を述べよ.
6. チタン酸バリウム(BaTiO3 )の結晶構造およびこの 結晶を構成する元素の位置座標を述べよ.
7. ガリウムひ素(GaAs)の結晶構造およびこの結晶を 構成する元素の位置座標を述べよ.
8. 塩化セシウム(CsCl)の結晶構造およびこの結晶を 構成する元素の位置座標を述べよ.
9. 窒化ガリウム(GaN)の結晶構造およびこの結晶を構 成する元素の位置座標を述べよ.
自由記述欄
第3回 概要 X線回折と相同定
授業時間内の学習内容 X線回折と相同定
キーワード(Key Word(s)) X線回折(Xray diffraction)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 鉄(フェライト)の各面の反射強度は?
2. 鉄 (オーステナイト) の各面の反射強度は?
3. 塩化セシウムの各面の反射強度は?
4. シリコンの各面の反射強度は?
自由記述欄
第4回 概要 「結晶面とX線回折」
授業時間内の学習内容 「結晶面とX線回折」
キーワード(Key Word(s)) X線回折(Xray diffraction)
事前学修の内容
事後学修の内容 先週と同じ
自由記述欄
第5回 概要 「気体分子運動論」と「古典粒子と量子粒子」
授業時間内の学習内容 「気体分子運動論」と「古典粒子と量子粒子」
キーワード(Key Word(s)) 気体分子運動論(kinetic theory of gases), 古典粒子(Classical particles), 量子粒子(Quantum particles)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 古典粒子と量子粒子の違いを述べよ.
2. フェルミ粒子とボーズ粒子の違いを述べよ.またそれ ぞれの粒子の例を挙げよ.
自由記述欄
第6回 概要 「古典粒子と量子粒子」
授業時間内の学習内容 「古典粒子と量子粒子」
キーワード(Key Word(s)) 古典粒子(Classical particles), 量子粒子(Quantum particles)
事前学修の内容
事後学修の内容 先週と同じ
自由記述欄
第7回 概要 「自由電子モデル」
授業時間内の学習内容 「自由電子モデル」
キーワード(Key Word(s)) 自由電子論(free electron theory)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. Cu は格子定数 a = 3.6146 ̊A をもつ面心立方構造の結晶 である.銅1cm 3 中に含まれる電子数を求めなさい.
2. Cu のフェルミエネルギーを求めなさい,
自由記述欄
第8回 概要 「固体の機械的性質」
授業時間内の学習内容 「固体の機械的性質」
キーワード(Key Word(s)) 弾性(Elasticity), 塑性(plasticity )
事前学修の内容
事後学修の内容 問題 1 1. 以下の材料の機械的性質の概略を示し,そのメ カニズムを自由電子論により説明せよ.
・ヤング率
・ポアソン比
・トレスカの降伏条件
・溶接
自由記述欄
第9回 概要 フォノン
授業時間内の学習内容 フォノン
キーワード(Key Word(s)) フォノン(phonon)
事前学修の内容
事後学修の内容 問題 2 1. 鉄の音速は,3000m/s であった.いま鉄の内部 の走る 5W,4000Hz の横波の音波を発生させた.この音波 の波長はどれだけか?また音波は何個のフォノンからなるか?
問題 3 2. 鉄の比重は,7.86g/cm3,原子量は 55.85g/mol
であった.この材料のデバイ波数を求めよ.また鉄の音速 (3000m/s)から,デバイ温度を推定せよ.(縦波の音波と横波の音波の区別は無視することとする)
自由記述欄
第10回 概要 「フォノンとその分布の温度による変化」
授業時間内の学習内容 「フォノンとその分布の温度による変化」
キーワード(Key Word(s)) フォノン(phonon)
事前学修の内容
事後学修の内容 先週と同じ
自由記述欄
第11回 概要 「光」と「黒体輻射」
授業時間内の学習内容 「光」と「黒体輻射」
キーワード(Key Word(s)) 黒体輻射(Black body radiation)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 物質中の熱と光のエネルギーの温度による変化の違い について述べよ.またこれらの違いが生じる理由を述 べよ.
2. 物体からの放射強度は,ある波長で最大となり,最大 となる波長は温度とともに短波長側にずれる.そうな る理由を述べよ.
3. 黒体とは何か?述べよ.
自由記述欄
第12回 概要 「準自由電子論:バンドギャップとバンド構造」
授業時間内の学習内容 「準自由電子論:バンドギャップとバンド構造」
キーワード(Key Word(s)) バンド構造(Band structure)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 価電子数が1,2,3,4の原子からなる単純立方格 子の材料のフェルミ球を想像して描け.
2. 価電子数が1,2,3,4の原子からなる単純立方格 子の材料のエネルギーバンドの図を描け.
自由記述欄
第13回 概要 「金属・半導体・絶縁体の電気抵抗」
授業時間内の学習内容 「金属・半導体・絶縁体の電気抵抗」
キーワード(Key Word(s)) 電気抵抗(Electric resistance)
事前学修の内容
事後学修の内容 1. 金属と半導体の電気抵抗は,温度が変わるとどうなる か?変化を簡単な模式図で示せ
2. バンドギャップが 1eV の Si を 20◦C から 100◦C に変 化させた.電気伝導度はどれくらい変化するか?概算 せよ.
3. バンドギャップが1eVのSiと5eVのダイヤモンドで は室温で,どれくらい電気伝導度が異なるか,概算せ よ.ただし,Si もダイヤモンドも電子の平均速度は同 じと考える.
4. 不純物の多い合金と不純物の少ない純金属では,電気 抵抗の温度依存性は,どう異なるか?説明せよ.
自由記述欄
第14回 概要 全体のまとめ
授業時間内の学習内容 全体のまとめ
キーワード(Key Word(s)) 復習(review)
事前学修の内容
事後学修の内容 試験勉強をお願いします
自由記述欄
第15回 概要 全体のまとめ(その2)
授業時間内の学習内容 全体のまとめ(その2)
キーワード(Key Word(s)) 復習(review)
事前学修の内容
事後学修の内容 試験勉強をお願いします
自由記述欄
ナンバリングコード(試行) EN-SYST-3

※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。 ナンバリングコード一覧表はこちら


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