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科目の基本情報

開講年度 2017 年度
開講区分 生物資源学部
受講対象学生 生物圏生命科学科・応用生命化学教育コース
学部(学士課程) : 2年次
選択・必修 必修
教育コース必修
授業科目名 有機化学Ⅰ
ゆうきかがく1
Organic ChemistryⅠ
単位数 2 単位
受講対象学生 生物圏生命科学科・生命機能科学講座
平成26年度(2014年度)までの入学者カリキュラム名称
選択・必修 必修
講座必修
授業科目名 有機化学 I
ゆうきかがく1
単位数 単位
他学部・他研究科からの受講 他講座の学生の受講可, 他類の学生の受講可
受講者があまりに多数の場合は,受講人数を制限することがある。その場合は,初回履修者と必修履修者を優先する。
市民開放授業 市民開放授業ではない
開講学期

前期前半

開講時間
有機化学 Iと有機化学 IIの二つの授業を組み合わせて前期の前半後半を講義する。必ず2科目一緒に履修すること。
開講場所

担当教員 稲垣 穣(生物資源学部・生物圏生命科学科)

INAGAKI, Minoru

学習の目的と方法

授業の概要 生命科学分野においてもっとも重要な基礎学問である有機化学の基礎を有機化学I(本講義)と有機化学IIの2科目を立てて週2回の講義を行う。有機化学を将来の専門分野として取り組む学生に対して,講義を聴くだけでなく,練習問題を解いたり,自ら積極的に調べるなどの学習スタイルも取り入れ,有機化学の知識と考え方をしっかり身につける。本講義では,ボルハルト・ショアー現代有機化学(化学同人)を教科書に指定する。指定する教科書は,生命科学を指向する学生向けに書かれた有機化学の良書であり,有機化学が実際の医療や食糧生産などに関わっていることを具体的に説明した例も多く含まれ,目的意識を持ちながら楽しく学習できる本である。その1章有機分子の構造と結合から8章ヒドロキシ官能基(アルコール)までを範囲として,重要な点を選び出して解説する。本講義,および有機化学IIにより有機化学の基礎を修めることは,それ以降に続く生命機能科学講座の専門科目を学習する為に重要な出発点となることから,この授業はぜひ力を入れて学習して欲しい。
学習の目的 生命体を構成する物質のほぼ全てが有機化合物であることからも明らかなように,有機化学は生命科学を指向する学生にとって欠くことのできない基礎学問である。物質を形作る化学結合の理解から始めて,物質の構造とそれに由来する性質を理解し,構造中に含まれる官能基の性質に起因する反応の特徴を理解することで,すべての物質を構成している単位である”分子”の営みを体系的に理解することを目的とする。
学習の到達目標 学生はこの授業を通して学生は:
1) 物質を形作る化学結合の知識を得る。2) 構造式やルイス構造,共鳴構造などを書くことができる。3) 酸,塩基とは何かを理解し,酸や塩基としの強さの違いを説明できる。4) 官能基の種類や官能基の示す性質を理解し,化合物の反応性を予測できる。5) 炭化水素(アルカン)の構造や反応性を理解し,沸点の違いや燃料としての価値を説明できる。6) シクロアルカンの環状構造と環の歪みについて理解し,環構造をもつ物質の特徴を説明できる。7) アルカンとハロゲンの反応を理解し,付加体の構造を予想できる。8) 求核置換反応とは何か?を理解し,反応の起こる理由を説明できる。9) 求核置換反応の反応機構を理解し、反応生成物の構造や速度や選択性を予想できる。10) 脱離反応の種類(E1,E2)のそれらの違いを理解して,反応の立体化学を説明できる。11) アルコールの性質を理解し,化合物の特徴を説明できる。12) アルコールの官能基の相互変換を理解し、原料と生成物を説明できる。13) 合成戦略を学習し,複雑なアルコールの合成方法を説明できる。14) 有機化学の社会や自然に及ぼす影響を理解して日ごろの生活に結び付けて考えることができる。15) 知識や技術を人の幸せのために活用する倫理観を身につける。16) 不思議な生命現象を有機化学の視点で考える方法を身につける。などの力を修得することを到達目標とする。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
○ JABEE 関連項目

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  • ○倫理観
  • ○モチベーション
  • ○主体的学習力
  •  心身の健康に対する意識
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的思考力
  •  課題探求力
  • ○問題解決力
  •  批判的思考力
コミュニケーション力
  • ○情報受発信力
  • ○討論・対話力
  •  指導力・協調性
  •  社会人としての態度
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○感じる力、考える力、コミュニケーション力を総合した力

物事を科学的に考えるための自らの立ち位置を得るため,基礎学問をしっかり固め,問題の切り分けや順序考える態度を身につける。

授業の方法 講義

授業の特徴 Moodle

教科書 ボルハルト・ショアー現代有機化学-第6版-上巻,KPC Vollhart, NE Schore著,古賀憲司,野依良治,村橋俊一(監訳),大嶌幸一郎,小田嶋和徳,小松満男,戸部義人(訳)2011年(化学同人)。一度に50ページ程度進まねばならないときもあるので,すべてを説明することは不可能である。そのため必ず予習・復習すること:教科書を事前に読み,各章の例題や章末問題を解いてから授業に臨むことを必須とする。
参考書 ヴォート基礎生化学-第4版-,D Voet, J Voet, C Pratt著,田宮信雄, 村松正實, 八木達彦, 遠藤斗志也 (訳) 2014年(東京化学同人)
成績評価方法と基準 課題またはレポート(40%),期末試験(60%)
オフィスアワー 毎週火曜日・木曜日の16:00-17:00(665号室)。学習の進まない者には,追加の課題を科す場合がある。疑問点や判らないことを放置せず,理解することを積み重ねること。
受講要件 有機化学Iと有機化学IIを必ず同時に履修すること。有機化学を将来の専門分野と考える,やる気の学生の受講を歓迎する。化学の基本を理解していることを前提に授業を進める。
予め履修が望ましい科目 初歩の化学を理解していること。基礎的な数学と物理学の知識を必要とする。
発展科目 有機化学II,創薬化学,分析化学,生物物理化学,生命機能化学実験実習など,生命機能化学講座の全ての専門科目
授業改善への工夫 有機化学のおもしろさを伝えられるように,取り上げる項目を厳選し,判りやすい説明を心がける。Moodleを活用して有機化学の内容を多面的に伝えるように取り組む。毎回の授業内容を復習する課題に取り組み,学生-教員-TAの連携により学習と理解を促進する。
その他 教員免許・各種資格取得に関連した科目 (注 : 必ず入学年度の学習要項で確認してください)

授業計画

キーワード イオン結合,共有結合,オクテット則,ルイス構造,共鳴構造,軌道と結合,構造と化学式,酸と塩基,官能基,直鎖アルカン,分岐アルカン,命名法,立体配座,回転障壁,ポテンシャルエネルギー図,アルキルラジカル,超共役,熱分解,塩素化,ラジカル,連鎖反応,ハロゲン化,環の歪み,シクロヘキサン,置換シクロヘキサン,大環状アルカン,多環アルカン,テルペン,沸点,融点,溶解度,求核置換反応,反応機構,電子移動,SN2反応,立体化学, R,S表記法,脱離基,求核剤,加溶媒分解,SN1反応,溶媒効果,E1脱離反応,E2脱離反応,アルコールの合成,酸化と還元,有機金属反応剤,Grignard反応,合成戦略,逆合成解析
Key Word(s) ionic bonding, covalent bonding, octet rule, Lewis structure, resonance structure, orbital and bonding, structure and chemical formula, acid and base, functional group, linear alkane, branched alkane, nomenclature, conformation, rotational varrier, potential energy diagram, alkyl radical, hyperconjugation, thermal degradation, chlorination, radical, radical chain reaction, halogenation, ring strain, cyclohexane, substituted cyclohexane, lage-membered cycloalkane, polycyclic alkane, terpene, melting point, boiling point, solubility, nucleophilic substitution, reaction mechanism, electron movement, Sn2 reaction, stereochemistry, R,S configuration, leaving group, nucleophile, solvolysis, Sn1 reaction, solvent effect, E1 elimination, E2 elimination, synthesis of alcohol, synthetic strategy, retro synthetic analysis
学習内容 第1回 講義計画 概要紹介 評価方法 有機分子の構造と結合
    イオン結合と共有結合,オクテット則,有機化合物の構造と化学式の表記法
第2回 有機化合物の構造と反応性
    酸と塩基,電子移動を示す矢印表記,官能基の性質
第3回 有機化が合物の構造と反応性2
    アルカンの構造と命名法,立体配座,回転障壁とエネルギー
第4回 アルカンの反応1
    結合の強さ,アルキルラジカルの安定性,超共役,アルカンの熱分解
第5回 アルカンの反応2
    アルカンの塩素化,ラジカル連鎖反応,アルカンのハロゲン化,
第6回 シクロアルカン1
    シクロアルカンの命名と性質,環の員数と歪み,シクロヘキサンの立体配座
第7回 シクロアルカン2
    置換シクロヘキサンの構造と熱平衡,大環状アルカン,多環アルカン,テルペン
第8回 ハロアルカンの性質と反応1
    ハロアルカンの物理性質,求核置換反応,反応機構
第9回 ハロアルカンの性質と反応2
    SN2反応の立体化学,R.S表記法,脱離基と求核剤の反応への影響,アルキル置換基の影響
第10回 ハロアルカンの反応
    加溶媒分解,SN1反応の立体化学,溶媒と脱離基の効果,求核剤やアルキル基の影響
第11回 ハロアルカンの反応
    E1脱離反応,E2脱離反応,置換反応と脱離反応の競合
第12回 ヒドロキシ官能基1
    アルコールの構造と命名,酸や塩基としての働き
第13回 ヒドロキシ官能基2
    アルコールの合成,酸化と還元反応
第14回 ヒドロキシ官能基3
    有機金属反応,Grignard反応,合成戦略,逆合成解析
第15回 有機化学の自然や社会に対する影響
    有機化学の自然や社会に与える影響
第16回 期末試験
学習課題(予習・復習) 予習:授業の内容(教科書の記述)の分量が大変多いので,各回の該当部分を予め読み、例題や章末課題を解いてから授業に臨むこと(必ず)。
復習:授業では,教科書の該当範囲から重要な箇所を説明する。取り上げることのできない部分も多いので,教科書を再度読み疑問点や未解決の部分を確認すること。章末問題(課題,あるいは,自主課題)を再度見直し、理論や知識を確かにすること。
課題:講義内容の理解を深めるための”反転授業”の一環として、毎回予習課題を科すので,必ずそれを解きレポートとして提出すること。毎回の課題点として積み立て,期末試験の得点と合わせて評価する。
態度:授業の進度に合わせて,不明な点や疑問点を調べたりして解決しておくこと。有機化学を身につけるには,着実に知識を積み重ねることが必要である。
ナンバリングコード(試行) BO-AGCH-2

※最初の2文字は開講主体、続く4文字は分野、最後の数字は開講レベルを表します。 ナンバリングコード一覧表はこちら


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