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科目の基本情報

開講年度 2024 年度
開講区分 生物資源学部
受講対象学生 生物資源学科・海洋生物資源学コース
学部(学士課程) : 2年次
選択・必修 選択必修
授業科目名 水族生理学
すいぞくせいりがく
Fish Physiology
単位数 2 単位
ナンバリングコード
開放科目 非開放科目    
開講学期

後期

開講時間 水曜日 3, 4時限
授業形態

対面授業

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

「オンライン授業」・・・オンライン会議ツール等を利用して実施する同時双方向型の授業
「ハイブリッド授業」・・・「対面授業」と「オンライン授業」を併用した授業
「オンデマンド授業」・・・動画コンテンツの配信等によって実施する授業

開講場所 R6後期時間割表で確認してください。

担当教員 宮崎 多恵子(海洋生物資源学科)

MIYAZAKI, Taeko

SDGsの目標
連絡事項

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

学修の目的と方法

授業の概要 魚類は他の脊椎動物とともに新口動物の頂点に位置するが,旧口動物の頂点には同じ水中生活者である頭足類が存在する。この授業では,魚類と頭足類の生体機能について,主に解剖学と組織学の側面から広く学ぶ。魚類については,淡水域から海洋深海底までの幅広い水圏において生息するための生理的システムについて,細胞および組織の機能を取り上げる。一方,頭足類については,体の外部形態と内部構造,並びにこれらの機能を知り,発生,成長,及び神経生理の基礎を学ぶ。また擬態などのユニークな一面についても理解を深める。これらの学修を経て,魚類と頭足類の生理を比較生物学的観点から考察するとともに,三重県周辺海域に生息分布するこれらの海洋生物群について,海洋環境への生理的適応面から理解を深める。
学修の目的 魚類ボディプランを学修し,他の脊椎動物との共通点と相違点を知る。魚類における皮膚の構成成分,骨格系,筋肉系,呼吸系,循環器系,消化・吸収器系,ならびに浸透圧調節系について,解剖学的構造や細胞・組織の種類と分布,それらの機能を学び,理解する。これらを修学した上で,その他の脊椎動物と各要素の比較を行うことにより,動物生理の進化について考察できるようになる。同時に,生息する水圏環境が異なる魚種間でこれらの要素を比較しすることで,魚類の水中環境に対する適応能力を評価できるようになることを目的とする。一方,頭足類ボディプランにおける脊椎動物との相異や相同性を認識し,同じ水圏環境に対して魚類とは異なる戦略で適応している点を見出す。
学修の到達目標 魚類の基本的体制に関する知識を獲得し,脊椎動物の基本形であることを動物進化学的観点から解説できるようになる。一方,頭足類とも比較し,同じ水中生活者である両者の異なる環境適応戦略を述べることができるようになる。

(知識)魚類および頭足類の体を形作る細胞や組織について形態的,機能的分類ができるようになる。それらが体に局在し,器官を形成することにより複数の生理機能が獲得されていることを論理的に説明できるようになる。
(態度)魚類と頭足類が,どのような形態的,機能的特徴を獲得し,水中環境に適応しているについて,自らがもつ知識と授業で学修した内容を関連付けて思考できるようになる。多様な知識と情報を整理し,他者に系統立てて説明するとともに,他者との議論を円滑にすすめる能力を身につける。
(技能)獲得した知識を生態理解や生物環境保全,また増養殖や漁業といった応用面に統合できるようになる。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
 (1)幅広い教養と倫理観、国際感覚を身につけ、豊かな人間性を有している。
○(2)生命、環境、食料、健康等に関する生物資源学の基本的な知識と技術、経験を有している。
 (3)科学的で論理的な思考を展開することができ、計画的に問題の解決に取り組むことができる。
 (4)豊かなコミュニケーション能力を持ち、他者と協力して行動することができる。
 (5)社会の変化に柔軟かつ自律的に対応し、発展的に生きていくことができる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  • ○感性
  •  共感
  •  主体性
考える力
  • ○幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  •  論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  •  表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

○ JABEE 関連項目
成績評価方法と基準 講義ごとの小テスト(40%),定期試験(60%)により評価します.
(知識)魚類および頭足類の体を形作る細胞や組織について,形態的,機能的特徴の理解度を,毎回行われる小テストを通じて評価する。また,知識の定着度と,各回での講義内容を有機的に関連付ける力を定期試験により評価する。
(態度)講義内容に関する事前学習への取り組み態度をムードル上で行う導入問題により評価する。
(技能)学修過程で課された課題に対する内容と構成,ならびに論理展開によって評価する。
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

英語を用いた教育

授業アンケート結果を受けての改善点 R6は担当者が変わるため過去のアンケート結果は反映されません。
わかりやすい図や写真をパワーポイントで示しながら適度な早さで解説するとともに,重要点をわかりやすく板書する.内容を理解しつつ,書き取りが十分にできる板書量とする.
教科書 教科書は特に指定せず,テクニカルターム,図・写真,補足解説等を記した資料を講義ごとに配付する.
参考書 自己学習の参考書として次を推薦する.「魚類生理学」(恒星社厚生閣),「魚類生理学の基礎」(同),魚類学(同),「Behaviour and Physiology of Fish」(Academic Press),Deep Sea Fishes(Cambridge Univ. Press)
オフィスアワー 随時(628室)
受講要件 魚類をはじめ,生物のさまざまな生命活動に興味をもって受講することが望ましい.
予め履修が望ましい科目 水産生物学実習
発展科目 水族神経科学
その他 環境教育に関連した科目

授業計画

各回
共通
MoodleのコースURL
第1回 概要 1.イントロダクション,魚類・頭足類のボディプラン
授業時間内の学修内容 脊椎動物の基本的な解剖学的特徴,動物進化におけるボディプランの保守と変化,魚類および頭足類の基本的体制について解説する。
キーワード(Key Word(s)) 形態 morphology,進化 evolution,ボディプラン body plan,魚類 fish ,頭足類 cephalopod
事前学修の内容 動物の形態進化に関する自己学習を行い,魚類と頭足類のボディプランについてどのような特徴があるか考える。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類と頭足類のボディプランについて復習し,他の動物との共通点や相違点を整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第2回 概要 2.組織と器官
授業時間内の学修内容 さまざまな細胞の種類と細胞間物質,組織の形態と機能について整理する。各種器官を形作る細胞や組織構成群,魚類ボディプランにおけるこれらの分布とはたらきについて解説する。
キーワード(Key Word(s)) 細胞 cell,細胞間物質 intercellular substances,組織 tissue,器官 organ
事前学修の内容 動物の体をつくる細胞の種類,それらの形態的,機能的特徴について自己学習を行う。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類ボディプランにおける組織と器官の分布について復習し,他の動物との共通点や相違点を整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第3回 概要 3. 骨格系
授業時間内の学修内容 魚類骨格系の基本的構成,動物進化における骨格系の変化,硬骨魚類と四肢類における骨格構造の共通点と相違点について解説する。硬骨魚類における骨格系の役割やはたらきを概説する。
キーワード(Key Word(s)) 骨格 skeleton,支持組織 supporting tissue,骨格筋skeletal muscle ,体節 metamere,脊椎 spine,鱗 scale,色素胞 chromatophore,体色 body color
事前学修の内容 魚類の外骨格と内骨格について予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類ボディプランにおける骨格系の分布,それらを形作る組織について復習し,他の動物との共通点や相違点を整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第4回 概要 4. 筋肉系
授業時間内の学修内容 魚類における筋肉の種類と機能,各種筋肉の組織学的特徴,これらの体における分布とはたらきについて解説する。魚種による体を構成する筋肉系の違いを概説する。
キーワード(Key Word(s)) 筋肉muscle ,普通筋ordinary muscle ,血合筋 hemosynovial muscle,平滑筋 smooth muscle,横紋筋 transverse muscle,骨格筋 bony muscle,内臓筋 internal muscle,心筋 cardiac muscle
事前学修の内容 魚類の種による筋肉系の違いについて予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類における筋肉系の種類,各種筋肉が局在する器官について復習し,各魚種のボディプランにおけるこれらの特徴を整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第5回 概要 5. 呼吸系
授業時間内の学修内容 呼吸器の定義と機能,脊椎動物における呼吸器の形成を説明し,魚類呼吸器の構造としくみ,そこに分布する細胞の種類とはたらきについて解説する。また魚類呼吸器がもつその他の役割についても概説する。
キーワード(Key Word(s)) 呼吸器 respiratory system,鰓 gill,鰾 swim bladder,ガス交換 gas exchange,鰓弓 gill arch,鰓耙 gill fan,鰓弁 gill valves,偽鰓 false gills,皮膚呼吸 skin breathing
事前学修の内容 ヒト呼吸器の構造としくみを振り返るとともに,魚類呼吸器について自己学習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類呼吸器官の構造と仕組みについて復習し,魚種による機能性の違いを考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第6回 概要 6. 循環器系
授業時間内の学修内容 魚類血液の成分と性状,血液により運搬される物質と運搬機能について解説する。魚類循環器の種類,構造,はたらき,およびこれらの体内における分布について解説する。また魚類ボディプランにおける循環器の基本構成と種特異性についても概説する。
キーワード(Key Word(s)) 血液 blood,血管blood vessel,血漿blood plasma,赤血球erythrocyte,白血球corpuscle,栓球hrombocyte,リンパ球lymphoid corpuscle,造血組織hemopoietic tissue,心臓 heart
事前学修の内容 血液の成分と性状,血液により運搬される物,ならびに循環器の種類とはたらきについて予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類ボディプランにおける骨格系の分布,それらを形作る組織について復習し,他の動物との共通点や相違点を整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第7回 概要 7. 消化・吸収器系(1)
授業時間内の学修内容 魚類における食物の摂取,体内での分解,取り込み,貯蔵,および排泄機構を説明し,これらに関与する消化管の区分について解説する。
キーワード(Key Word(s)) 消化器digestive organ,吸収器absorber,口腔 buccal cavity,歯gear tooth,咽頭歯pharyngeal teeth,鰓耙 gill fan,食道esophagus,胃stomach ,無胃魚stomachless fish,幽門垂 pylorus,腸intestine,肝臓 liver,膵臓 pancreas
事前学修の内容 脊椎動物の消化・吸収機序について予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚類における消化管の区分と,それぞれの外部栄養摂取における役割について復習する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第8回 概要 8. 消化・吸収器系(2)
授業時間内の学修内容 魚類の消化・吸収に関わる器官と,そこに分布する細胞や組織について解説するとともに,魚種による食性の違いと消化・吸収器系の機能的特徴の関係を概説する。
キーワード(Key Word(s)) 消化器digestive organ,吸収器absorber,口腔 buccal cavity,歯gear tooth,咽頭歯pharyngeal teeth,鰓耙 gill fan,食道esophagus,胃stomach ,無胃魚stomachless fish,幽門垂 pylorus,腸intestine,肝臓 liver,膵臓 pancreas
事前学修の内容 脊椎動物の消化・吸収器官(臓器)について予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚種による多様な食性と消化器・吸収器の形態的,機能的特徴との関係について考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第9回 概要 9. 浸透圧調節系
授業時間内の学修内容 硬骨魚類における体液浸透圧と環境水浸透圧との関係を説明する。各調節器官における浸透圧調節の仕組みと,そこで関与する細胞の種類やはたらきについて解説する。
キーワード(Key Word(s)) 浸透圧osmotic pressure,鰓 gill,塩類細胞 chloride cell,腎臓 kidney,ホメオスタシス homeostasis,回遊魚 migratory fish,広塩性魚類 euryhaline fish,ホルモン hormone
事前学修の内容 浸透圧の仕組みと,淡水魚と海水魚の浸透圧調節について予習する。 
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 硬骨魚類の浸透圧調節機構について復習し,魚種の生態や成長段階による浸透圧調節機能の違いについて考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第10回 概要 10. 運動系
授業時間内の学修内容 魚類と陸棲動物の運動様式の違いを説明し,魚類の遊泳運動について概説する。魚種による外部形態(体形)や内部構造(骨格・筋肉)と遊泳型の関係,また遊泳速度や遊泳持続時間等の遊泳能力との関係について解説する。
キーワード(Key Word(s)) 鰭 fin,体側筋lateral muscles,血合筋 dark muscle,体温 body temperature,遊泳速度 swimming speed, 巡航速度 navigation speed,臨界遊泳速度 burst speed,推力 thrust,抗力drag,揚力lift force 
事前学修の内容 脊椎動物の陸棲化の過程や魚種による遊泳形・遊泳速度の違いについて調べる。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 魚種による体形や外部形質,内部形質の違いと遊泳形・遊泳能力の関係について復習し,これらと行動生態との関係について考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第11回 概要 11. 魚類における組織・器官と環境適応
授業時間内の学修内容 低温・高圧・暗黒といった極限環境に生息する深海魚における組織・器官の形態的,機能的特徴と,それらによる環境適応性について解説する。
キーワード(Key Word(s)) 深海 seep-sea,深海魚deep-sea fish,耐水圧water pressure resistance,浮力buoyancy,代謝metabolism ,スクワレンsqualene
事前学修の内容 深海および深海魚の定義を調べるとともに,深海魚の生理について自己学習を行う。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 深海魚における高水圧,低水温,ならびに暗黒環境に対する外部形質,ならびに内部形質の特徴について復習するとともに,それらの環境適応性と深海魚の行動生態との関連について考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第12回 概要 12. 頭足類の組織・器官
授業時間内の学修内容 頭足類の分類学的地位,ならび種について説明する。頭足類のボディプランを解説し,脊椎動物や他の無脊椎動物との共通点・相違点を概説する。
キーワード(Key Word(s)) 頭足類 cephalopod,外套膜 mantle,漏斗funnel,鰭 fin,触腕 tentacle,交接腕 intersecting arms,色素胞 chromatophore,墨汁嚢 ink sac,鰓心臓gill heart ,星状神経節stellate ganglion ,平衡石statolith,精莢 spermatophore,抱卵腺incubation gland,輸卵管 oviduct
事前学修の内容 頭足類の体のつくり(外部形質,内部形質)について予習する。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 頭足類のボディプランについて復習し,他の動物との違いについて整理する。またボディプランにおける各器官の分布,ならびにそれらの生理機能について整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第13回 概要 13. 頭足類の発生・成長・繁殖
授業時間内の学修内容 頭足類の卵と発生,孵化と成長,各器官の発達,ならびに繁殖と産卵について解説する。稚イカおよび成体の摂餌様式と消化の仕組みや代謝について概説する。
キーワード(Key Word(s)) 卵 egg,発生 breeding,孵化 hatch-out,成長 growth,繁殖 reproduction,消化 digestion,代謝 metabolism
事前学修の内容 頭足類の産卵生態について調べる。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 頭足類の繁殖システムについて復習し,繁栄戦略を考察する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第14回 概要 14. 頭足類の行動生理
授業時間内の学修内容 頭足類の遊泳運動,摂餌動作,群れ行動,コミュニケーション,繁殖行動等について解説する。また擬態や体色変化について説明する。
キーワード(Key Word(s)) 漏斗 funnel,ジェット推進jet propulsion,群れ schooling,学習 learning,環境エンリッチメント environmental enrichment,カモフラージュcamouflage,擬態 mimic,隠蔽 hiding
事前学修の内容 頭足類のカモフラージュや学習について調べる。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 頭足類の遊泳,群れ,繁殖,コミュニケーション等,行動について復習し,それらを整理する。
事後学修の時間 120分
自由記述欄
第15回 概要 15. 総合討論
授業時間内の学修内容 グループに与えられた課題について,パワーポイントによる10分間の発表と5分間の質疑応答を行う。
キーワード(Key Word(s)) 発表 presentation,議論 discussion,同意 agreement,意見 suggestion,批評 comment
事前学修の内容 課題に関する自己学習を行う。
事前学修の時間 120分
事後学修の内容 (1)自班の発表の自己評価,(2)各班の発表についてのコメントや感想をレポートする。
事後学修の時間 120分
自由記述欄

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