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開講年度 | 2024 年度 | |
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開講区分 | 共通教育・教養基礎科目 | |
受講対象学生 |
学部(学士課程) : 1年次, 2年次, 3年次, 4年次, 5年次, 6年次 三重大学と鈴鹿医療科学大学の学生が、それぞれの授業を、お互いに、遠隔授業の形式で共有します。痛みをテーマに、二つの大学の多様な教員の、特色ある専門的な授業を受講できます。 |
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授業科目名 | 【遠隔】医学医療C1 | |
えんかく いがくいりょうしーいち | ||
Medical Science and Care C1 | ||
授業テーマ | いたみの科学 | |
単位数 | 2 単位 | |
受講対象学生 | 2022年度以前入学生向けの科目名 | |
授業科目名 | 【遠隔】医学医療C | |
えんかく いがくいりょうしー | ||
Medical Science and Care C | ||
授業テーマ | いたみの科学 | |
単位数 | 2 単位 | |
ナンバリングコード | gedu-libr-MEDN1153-001
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開放科目 | 非開放科目 | |
分野 | 環境・科学, 健康・医療・福祉 | |
分類・領域 |
教養統合科目・地域理解・日本理解 (2022(令和4)年度〜2015(平成27)年度入学生対象) |
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開講学期 |
後期 |
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開講時間 |
火曜日 7, 8時限 三重大学は14時40分から16時10分の90分のうち、14時40分から15時10分までの30分は、担当教員による予習的講義。15時10分から16時10分までの60分間は、鈴鹿医療科学大学との合同遠隔授業。鈴鹿医療科学大学は、15時10分から16時40分まで。 |
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授業形態 |
オンライン授業 * 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい
「オンライン授業」・・・オンライン会議ツール等を利用して実施する同時双方向型の授業 |
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開講場所 | オンライン講義。(控室:総合医学教育棟2階 臨床第2講義室) | |
担当教員 | 医学部教員(○賀来隆治、角甲純、百崎 良、松崎 孝、新井直也、横地 歩、明田浩司、中野智介、坂本 正、小野大輔、村田 琢、奥野郁斗、尾本朋美 他)および 鈴鹿医療科学大学教員 | |
Faculty members of Mie University(Ryuji Kaku, Ryo Momosaki, Jun Kako, Takashi Matsusaki, Ayumu Yokochi, et al) and faculty members of Suzuka University of Medical Science | ||
実務経験のある教員 | 賀来隆治、松崎 孝、小野大輔、横地 歩、坂本 正、尾本朋美、奥野郁斗は、痛みセンターやペインクリニック外来にて、慢性疼痛分野に対し実務経験がある。角甲純は、看護学の専門性分野において、慢性疼痛分野に対し実務経験がある。百崎 良は、リハビリテーション領域において慢性疼痛分野に対し実務経験がある。明田浩司は、整形外科領域において慢性疼痛分野に対し実務経験がある。新井直也、村田 琢は、口腔外科部門において慢性疼痛分野に対し実務経験がある。中野智介は、精神科領域において慢性疼痛分野に対し実務経験がある。そのほか、それぞれの教員が、臨床業務や臨床教育において、慢性疼痛分野に対し実務経験がある。 | |
SDGsの目標 |
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連絡事項 | 担当教員の連絡先は「rkaku@med.mie-u.ac.jp」に変更となりました。 * 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい |
授業の概要 | 痛みは、人の身体と心にかかわる問題です。その人の痛みは、その本人にしか分かりません。痛みをどのように理解するのか、考えてみましょう。授業では、痛みのしくみを理解し、人々が、どのように痛みに向き合うのかを学びます。さらに、医療人が、どのように痛みに対処しようとしているのかを学びます。痛みの科学を履修することにより、痛みに対し、過度の不安や恐怖を感じることなく、適切な行動・対処ができる;そのような考え方の獲得を目指します。また、痛い人やその家族・パートナーに、いかに接したらよいのか、多方面からのアプローチを考えてみたいと思います。 現状、働き得る世代が働けていない原因疾患は、1位が精神疾患で、2位が慢性疼痛です。慢性疼痛の重要度に鑑み、多職種連携による集学的治療の普及が待望されています。 |
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学修の目的 | 概ね3か月以上継続する痛みを「慢性の痛み」といいます。通常、痛みは、身体に起こっている「よからぬこと」を知らせる警告信号としての機能を持っています。しかしながら、痛みの原因がなくなっても痛みが持続することがあり、もはや、警告信号としての機能を有していない場合があり、痛みを維持する悪循環の存在や、心理社会的要因の影響が考えられています。日常生活や、けが・病気で感じる痛みのしくみについて知り、痛みの発生原因や維持・悪化要因、実際に体内でおこっていることを、具体的に学びます。そして、痛みを和らげる対策について、多方面から学びます。東洋医学と西洋医学、医学と心理学(*)を駆使します。 *)日本の医学教育では、心理学の欠如が問題視されています。近い将来での、心理学の必修化がささやかれています。一方、慢性疼痛の分野では、認知行動療法など心理学的な方法の必要度が高い事例が混在しており、医師の心理学への理解度の低さが問題となっています。 |
学修の到達目標 | 痛みが発生するしくみを説明でき、その原因を推察でき、実際に経験する痛みに応用できることを目指します。薬、体操、ストレッチ、温熱療法、リハビリテーション、心理療法、鍼灸、栄養、福祉など、各領域の専門職の存在を知り、多方面のアプローチがあることと、その重要性を十分に理解し、慢性の痛みの状況への科学的・集学的な考えかたを身につけます。 |
ディプロマ・ポリシー |
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成績評価方法と基準 | 2/3以上の出席を前提に、レポート(100%)で評価する。(レポートは、知識・理解、思考・判断、技能、関心・意欲、態度といった幅広い内容の評価に向いています。) |
授業の方法 | 講義 |
授業の特徴 |
Moodleを活用する授業 |
授業アンケート結果を受けての改善点 | ISO規格上、日本の医師免許は、医学教育での心理学の欠如が問題になっています。慢性疼痛の分野では、心理学的アプローチが不可欠ですので、この授業では、あえて心理学(行動医学)の分野にも、踏み込みます。 |
教科書 | |
参考書 | |
オフィスアワー | 毎月曜日 16:00~17:00 059₋231₋5634(代表)→ 麻酔科 賀来 隆治。 |
受講要件 | 痛みを感じたことのある人(つまり誰でも)。 医学系学生(医学科、看護学科)にとっては、専門で学ぶ内容を時間をかけて深く講義しますので、治療する側としての今後に役立ちます。医学系以外の学生にとっては、日々の生活で体験する痛みのしくみを知り、医院、クリニック、病院での治療の考え方を理解できますので、今後の人生に役立ちます。 |
予め履修が望ましい科目 | |
発展科目 | 医療系(医学部医学科、看護科)学生で、この授業を履修した者に対しては、痛み治療に対するチームアプローチおよび東洋医学的アプローチ(漢方、鍼灸など)を小グループで学ぶ、専門科目の選択科目が次年度に用意されています。(希望者多数の場合は、人数制限を行うことがあります。)(2023年度は、いたみのチーム・集中コースという名称でした。) |
その他 | 2つの大学(三重大学、鈴鹿医療科学大学)の講義を、遠隔授業の手法で共有します。多様な専門性を有する、2つの大学の複数の教官の講義に参加できます。 |
MoodleのコースURL |
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キーワード | 痛み、慢性疼痛、心理、看護、リハビリテーション、痛みどめの薬、栄養 |
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Key Word(s) | pain, chronic pain, nursing, psychology, rehabitaion, pain killer, nutrition, |
学修内容 | 下記は、過去事例です。時間配分と正確な担当教員名は、初回講義等でお知らせます。三重大学と鈴鹿医療科学大学の両方の専門教員による、幅広い分野に対する講義を聴講することが出来ます。なかなか無い機会となっています。 0.なぜ痛むのか?(痛みのしくみ) 1.痛みのルートとバトンタッチ(三重大学医学部) 2.痛みを抑える薬(鈴鹿医療科学大学) 3.腰、肩、膝の痛み(整形外科的アプローチ)(三重大学医学部) 4.痛みに対する理学療法(鈴鹿医療科学大学) 5.痛みの診断と治療(痛みの原因があれば、原因の治療を)(三重大学医学部) 5.痛みに対するリハビリテーション(運動・体操・ストレッチ)(鈴鹿医療科学大学) 6.痛みの心理的側面(鈴鹿医療科学大学) 7.痛みと交感神経(鈴鹿医療科学大学) 8.痛みと栄養(鈴鹿医療科学大学) 9.痛い人への看護支援(三重大学医学部看護学科) 10.痛い人への看護支援(鈴鹿医療科学大学) 11.痛みとともに生活する人への相談援助(鈴鹿医療科学大学) 12.痛みと鍼灸(鈴鹿医療科学大学) 13.心頭を滅すれば火もまた涼し(自分で自分の痛みを抑える仕組み) 14.痛みのメモリー(痛みを覚えさせない) 15.総括 鈴鹿医療科学大学と三重大学で、遠隔での同時講義を行います。授業開始時間が、両大学で30分ずれているので、共通の講義は60分間です。残りの30分は、講義のまとめや講義の追加を、各大学の担当教員が行います。 各講義の内容(順不同) <何故痛むのか?(痛みのしくみ)> 皆さんが痛いと感じた時、何が起こっているのでしょうか? 圧迫する、引っ張る、叩く、圧迫する。切る、刺す・・などなど。これらは、物理的刺激で、機械的刺激です。あまりに熱い、冷たいとやはり痛み、これらを寒熱刺激といいます。塩酸や硫酸などの化学物質に触らたら、やはり痛いですね。これらを化学的刺激といいます。風邪でのどが痛い、扁桃腺炎で痛いなどは、痛みの原因となる化学物質が発生していて、その化学物質が痛み担当の神経を刺激するから痛むのです。これらの痛みを起こす刺激を痛み刺激といいますが、医学的に難しく表現すると「侵害刺激」になります。本講義では、痛いときに神経末端で起こっている現象について説明します。その現象を抑える薬には、ロキソニン、ボルタレン、アスピリン、イブプロフェンなどがあります。 <痛みのルートとバトンタッチ> 神経末端出痛みの電気信号が発生すると、その電気信号は脊髄に向かいます。その電気信号は脊髄で神経を乗り換えて、視床に向かい、視床でも神経を乗り換えて、大脳皮質に到達します。身体各部からやってきた信号は、決まった場所に到着しますので、その細胞に信号が伝わったときには、逆に身体のどこから来たのか分かるのです。どこから信号がきたのか判別する場所を、体性感覚野といいます。さらに痛みの信号は、脳で、快・不快を担当する大脳辺縁系という場所にも到達しますので、痛いと感じたときには、同時に不快感と嫌な気持ちが沸いてくるのです。本講義では、痛がっている人は不快感を伴い、決して晴れやかではないのが正常であるこの意義について考えてみたいと思います。 <心頭を滅却すれば火もまた涼し>(自分で自分の痛みを抑える仕組み) 「心頭を滅却すれば火もまた涼し」「サッカー選手が試合中に骨折しても、痛むのは試合が終わってから」というのは本当でしょうか? 本当です。痛み刺激があるのに、痛くないことが、実際にあるのです。本講義では、その仕組みについて解説します。痛いのは、身体がすでに損傷を受けた後や、これから受ける可能性のある状況です。つまり、痛みには、損傷の存在や損傷が発生する可能性を知らせる警報のような役割があります。一方、警報を発し一旦知らせた後では、過剰な痛みはよくないので、身体には、自分で自分の痛みを和らげる仕組みが備わっています。これを下行性抑制系といいますが、脳幹(中脳・橋・延髄)から脊髄に下行しています。その末端では内因性の鎮痛物質が放出され、痛みの電気信号が脊髄で神経を乗り換えるのを抑えているのです。 <痛みのメモリー(痛みを覚えさせない)> メモリーは記憶です。記憶はどこで起こるのでしょうか? 脳ですね。人の名前や電話番号は、大脳の海馬という場所で覚えます。演奏、運動、書道などの練習で覚える場所は小脳です。記憶の発生する場所は、1大脳の海馬、2小脳が知られていましたが、第3の場所として脊髄の細胞が痛みの電気信号のパターンを記憶してしまうこと分かってきました。つまり、痛みのメモリーが脊髄にあるのです。記憶とは、再現する力ともいえます。憶えるはどうすればよいか?繰り返す、いつもしていれば覚えますし、忘れませんね。では、忘れるにはどうするか? 使わなければ忘れます。練習を怠ると下手になりますね。慢性の痛みについて同じです。いつも痛いと、痛みを覚えてしまいます――脊髄で。そこで、痛みを覚えさせないためには、痛む時間を少なくすることが重要です。逆に痛みを忘れるには、痛くない時間を長くとることが大切です。ですから、痛みが強いときには、我慢させてはいけません―――痛みを脊髄が覚えてしまう(慢性の痛みとなってしまう)から。そして、一旦覚えてしまったら、忘れさせるために、痛くない時間を長くする治療を行います。そう、痛みを止める治療は、痛みを覚えないようにし、忘れさせるための根本的な治療です。 <痛みに対するリハビリテーション(運動・体操・ストレッチ)> リハビリテーションとは、元々の機能を回復するための、身体的支援であり、テラピストという専門職があります。身体を動かしていないと、身体が固くなってしまいます。固くなると柔軟性が低下し、いつもより大きく動かそうとすると、痛みます。高齢になると体が固くなり、足腰が痛くなってしまいます。そこで、本講義では、①肩こり、腰背部、頸部の筋肉痛のイメージを掴み、②過度な収縮や緊張が痛みの原因となることを知り,③筋肉に負担をかける姿勢や動作を考え、④運動後や無理な姿勢、長時間同じ姿勢をとった後の痛みの発生を和らげるためのストレッチやメインテナンスの考えかたと具体的方法を学びます。皆様は、生理学などの基礎医学の重要性を実感するともに、日常生活やクラブ活動、運動後の筋肉対策、1日の筋肉疲労をとることの重要性に気づくでしょう。 <痛みと鍼灸> 鍼灸治療を受けている人は多く、実際、痛みの軽減につながっています。しかし、その理論的しくみを、しっかり知っているかというとそうでもないようです。実態は、理屈はどうあれ、とにかくその人にとって効いていれば、人は鍼灸治療を続けます。今後、医療者となる皆さんは、自身が鍼灸を施術しなくても、鍼灸治療の概要と理論を知っていると、将来役立つと思います。そこで、本講義では、①痛み治療における鍼灸治療の役割を知り、②自分で自分の痛みを抑えるしくみと内因性鎮痛物質について復習し、③鍼灸治療が痛みを軽減するしくみを内因性の鎮痛痛物質の発生という面から理解します。薬を好まない人は鍼灸治療という、物理的なに刺激療法で痛みを軽減できる現実を理解した上で、鍼灸療法が薬と同様の内因性鎮痛物質を放出していることを理解したいと思います。東洋医学的な、経絡・経穴についても解説します。 <痛みと栄養> 栄養と痛みの関係で、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 高齢者では、腰や肩の痛みや膝の痛みを持つ人が多いのですが、筋肉の量が減ってくることが、筋肉痛の原因となります。筋肉量の低下は、各筋への負担を増やすため、筋肉疲労が起きやすくなるため、筋肉量を維持することが、筋肉痛を予防するために重要です。 高齢者では、筋肉量が減ってきますいが、これをサルコペニアといいます。 そこで、本講義では、毎日の食事で、筋肉の維持・増進に役立つ、栄養学的知識を得ます。さらに、体を温める、血流を改善する、体力をつける栄養素・食事について考えてみたいと思います。 <痛みと交感神経> 交感神経と痛み――交感神経とは、心拍を速めたり、血圧を上げたり、緊張しているときに活性化している自律神経です。痛みに関係あるのでしょうか? 正常では、痛み担当の神経と交感神経が交通することはありません。しかし、ケガや感染、手術をきっかけとして双方の交通ができてしまうことがあり、交感神経活動そのものが痛みの原因となってしまい、これを交感神経依存性の痛みといいます。対策として、交感神経の遠心性刺激を下げることをするのですが、星状神経節への光線療法や局所麻酔薬の注入が行われます。本講義では、慢性の痛みにおける、交感神経の役割を理解し、交感神経を和らげる具体的な方法について、局所麻酔薬による硬膜外ブロックについて解説します。 <痛みを抑える薬> 「痛み止め」って何ですか?ともし尋ねられたら、どう説明しますか?皆、「痛み止め」という言葉はよく使っていますね。痛みを止める薬という意味だと思います。では、痛み止めが効く仕組みはどうなっているのでしょうか。薬の効く場所、作用点は1か所ではなく、結果として痛みが和らぐに至った仕組みは、薬の種類によって異なります。痛みの原因がある場合は、根本的に原因を治す治療を行いつつ、同時に鎮痛も図ります。一方、原因がはっきりしない場合、痛みの程度や期間を短くすることそのものが痛みの治療となるのです。この意味では、痛みを止めることは、対症療法ではなく根本的な治療となります。 本講義では、痛みが発生する仕組みに基づいて、結果として痛みを和らげる薬の作用について考えてみたいと思います。 <痛みの心理的側面> 痛みにどう向き合うか? 痛いという状況は、不快であり、気分の良いものではありません。人も含めて動物は、正常では、不快な出来事を避けようとしています。痛みの治療では、痛みゼロを目標にすると、なかなか達成できないことも多く、「少し痛むけれども生活に支障ない」と思えるようになるのを当面の目標とします。不安、悩み、心配、ストレスは、痛みを強めてしまいます。痛みの強さは変わらないけれども、日常生活に支障がないので、あまり気にならなくなるようにするには、どうしたらよいのか? 気づきによって、痛みと不快感が軽減できます。感情・情動は理屈ではなく、湧き上がるものですが、人の場合、前頭葉での思考で調整できる可能性があります。本講義では、痛みの心理的な要素について考え、臨床心理的アプローチの重要性に気づいていただければと思います。 <痛みとともに生活する人への看護支援 看護2回> 痛みにどう向き合うか? 医院や病院を受診する人、在宅医療(訪問看護)をうけている人、通所している人、多様な状況のなかで、痛む人々と接する職種として最も人数が多いのは看護職です。多くの痛む人々が、看護師にいろいろなことを尋ねてきます。薬(飲み方、効果、副作用)、注射、リハビリ、食事、日常生活(睡眠・運動・入浴)で気をつけること、日常生活動作(移動)、痛む理由、受けている治療に対する質問などなど・・・。治療とは関係なさそうにみえるけれども、実は関係のある家族関係・仕事の問題、悩み、不安、心配、不満、喜び、期待、希望、思い、・・・。慢性の痛みを持つ人々に対してできる看護支援とは何か? 個々の痛む人への、多職種によるアプローチを理解し、対象となる人とコミュニケーションをとり、情報取集を行い、多職種間で共有し、さらに職種間のコミュニケーションを促進・調整することにより、最善を尽くしたいものです。痛む人々の、なぜ・どうして?という疑問に答えるには、多方面にわたる知識が必要です。2回に渡り、痛みとともに生活する人への看護支援について考えてみたいと思います。特に将来、看護職以外の専門職に就かれる皆さんとの交流を楽しみにしております。 <腰、肩、膝の痛み(整形外科的アプローチ)> 痛みの原因があれば、その原因の治療をしなければなりません。整形外科では、骨、関節、筋、腱、靭帯、軟部組織に痛みの原因となる、病変や外傷がないかを診断し、手術で治る場合は、手術を行います。そこで、慢性の痛みの人は、整形外科的疾患の有無を整形外科で診てもらう必要があります。本講義では、整形外科受診が必要な症状と疾患について解説します。皆様も聞いたことのある、骨粗鬆症やロコモなど、皆様の周りの高齢者が直面している問題についても解説します。若人は経験がないので、実感できないわけですが、人でも動物でも足腰が弱り、自分で移動できなくなることが、大問題であることに気づくことは、今後の皆さんの勉強を深めると思います。 <痛みにたいする理学療法> 理学療法は、運動や温熱・寒冷・電気あるいは牽引やマッサージのような機械刺激などによるアプローチで、おもに身体の運動機能について回復・維持・強化を狙います。幾つかのアプローチを組み合わせることもよくあります。適切な実施なら痛みの軽減にもつながり、逆に不適切なら悪化にもつながります。一方、痛みの今日的な理解にもとづくならば、痛みを感知することを無暗にやらない、あるいは許容可能な僅かな痛みでできる動きを患者様に認識してもらい、可能な運動を拡充するということになります。さらに急性痛と慢性痛を意識した対処や、慢性痛における社会心理的な理解が必要といわれるようになりました。関連は多々ありますが、要は「如何に適度な運動を維持していただくか!」ということです。これらの基本的な考え方について説明します。 <痛みとともに生活する人への相談援助> 「痛みとともに生活する人」の痛みを生活者の視点で「共に生きる者」として「わが事」としてとらえ。利用者に寄り添える医療従事者としての在り方を理解する。医療従事者として知時として「治療・医学モデル」による「上から目線」になりがちな対応に陥らず、また「社会・環境モデル」的に「社会や周囲に責任を求める」だけではなく、そうした「本人・個人」と「周囲・環境」両側面に意識を向け、両側面の交互作用に着眼して、相談援助支援を行うことの大切さと相談援助における「(専門職としての)価値・知識・技能方法」を理解する。そのために医療従事者として、患者の相談に対応する際に必要となる知識~国際障害分類と国際生活機能分類の相違点を理解し、「バイスティックの7原則」などの相談援助における利用者理解のための留意点を学ぶ。 |
事前・事後学修の内容 | Moodle の指示などを確認してください。 |
事前学修の時間:30分/回 事後学修の時間:90分/回 |