三重大学ウェブシラバス


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科目の基本情報

開講年度 2024 年度
開講区分 生物資源学部
受講対象学生 生物圏生命化学科・全教育コース
学部(学士課程) : 1年次
選択・必修 必修
学科必修科目
授業科目名 有機化学Ⅰ
ゆうきかがくI
Organic Chemistry I
単位数 2 単位
ナンバリングコード
BIOR-Life-2021-003
開放科目 非開放科目    
開講学期

後期

開講時間 水曜日 1, 2時限
授業形態

対面授業

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

「オンライン授業」・・・オンライン会議ツール等を利用して実施する同時双方向型の授業
「ハイブリッド授業」・・・「対面授業」と「オンライン授業」を併用した授業
「オンデマンド授業」・・・動画コンテンツの配信等によって実施する授業

開講場所

担当教員 稲垣 穣(生物資源学部・生物圏生命化学科)

INAGAKI, Minoru

SDGsの目標
連絡事項

* 状況により変更される可能性があるので定期的に確認して下さい

学修の目的と方法

授業の概要 生命科学分野においてもっとも重要な基礎学問である有機化学の基礎を有機化学I(本講義)と有機化学IIの2科目を立てて講義を行う。有機化学を将来の専門分野として取り組む学生に対して,講義を聴くだけでなく,練習問題を解いたり,自ら積極的に調べるなどの学習スタイルも取り入れ,有機化学の知識と考え方をしっかり身につける。本講義では,ボルハルト・ショアー現代有機化学(化学同人)を教科書に指定する。指定する教科書は,生命科学を指向する学生向けに書かれた有機化学の良書であり,有機化学が実際の医療や食糧生産などに関わっていることを具体的に説明した例も多く含まれ,目的意識を持ちながら楽しく学習できる本である。その1章有機分子の構造と結合から8章ヒドロキシ官能基(アルコール)までを範囲として,重要な点を選び出して解説する。本講義,および有機化学IIにより有機化学の基礎を修めることは,それ以降に続く生命機能化学講座の専門科目を学習する為に重要な出発点となることから,この授業はぜひ力を入れて学習して欲しい。
Moodle HPを整備しているので,授業の資料や授業内容(スライドの解説)ビデオを事前に見てから授業に臨む,”反転授業”を行う。授業の時間は,予め考察した自分の考えを確認したり,誤りに気づいて修正する場にすること。逐一スライドを解説する時間を減らし,授業中に課題を解く時間を設定する。
学修の目的 生命体を構成する物質のほぼ全てが有機化合物であることからも明らかなように,有機化学は生命科学を指向する学生にとって欠くことのできない基礎学問である。物質を形作る化学結合の理解から始めて,物質の構造とそれに由来する性質を理解し,構造中に含まれる官能基の性質に起因する反応の特徴を理解することで,すべての物質を構成している単位である”分子”の営みを体系的に理解することを目的とする。
学修の到達目標 学生はこの授業を通して学生は:
1) 物質を形作る化学結合の知識を得る。2) 構造式やルイス構造,共鳴構造などを書くことができる。3) 酸,塩基とは何かを理解し,酸や塩基としの強さの違いを説明できる。4) 官能基の種類や官能基の示す性質を理解し,化合物の反応性を予測できる。5) 炭化水素(アルカン)の構造や反応性を理解し,沸点の違いや燃料としての価値を説明できる。6) シクロアルカンの環状構造と環の歪みについて理解し,環構造をもつ物質の特徴を説明できる。7) アルカンとハロゲンの反応を理解し,付加体の構造を予想できる。8) 求核置換反応とは何か?を理解し,反応の起こる理由を説明できる。9) 求核置換反応の反応機構を理解し、反応生成物の構造や速度や選択性を予想できる。10) 脱離反応の種類(E1,E2)のそれらの違いを理解して,反応の立体化学を説明できる。11) アルコールの性質を理解し,化合物の特徴を説明できる。12) アルコールの官能基の相互変換を理解し、原料と生成物を説明できる。13) 合成戦略を学習し,複雑なアルコールの合成方法を説明できる。14) 有機化学の社会や自然に及ぼす影響を理解して日ごろの生活に結び付けて考えることができる。15) 知識や技術を人の幸せのために活用する倫理観を身につける。16) 不思議な生命現象を有機化学の視点で考える方法を身につける。などの力を修得することを到達目標とする。
ディプロマ・ポリシー
○ 学科・コース等の教育目標
 (1)幅広い教養と倫理観、国際感覚を身につけ、豊かな人間性を有している。
○(2)生命、環境、食料、健康等に関する生物資源学の基本的な知識と技術、経験を有している。
○(3)科学的で論理的な思考を展開することができ、計画的に問題の解決に取り組むことができる。
○(4)豊かなコミュニケーション能力を持ち、他者と協力して行動することができる。
 (5)社会の変化に柔軟かつ自律的に対応し、発展的に生きていくことができる。

○ 全学の教育目標
感じる力
  •  感性
  •  共感
  • ○主体性
考える力
  •  幅広い教養
  • ○専門知識・技術
  • ○論理的・批判的思考力
コミュニケーション力
  • ○表現力(発表・討論・対話)
  •  リーダーシップ・フォロワーシップ
  •  実践外国語力
生きる力
  • ○問題発見解決力
  •  心身・健康に対する意識
  •  社会人としての態度・倫理観

物事を科学的に考えるための自らの立ち位置を得るため,基礎学問をしっかり固め,問題の切り分けや順序考える態度を身につける。

○ JABEE 関連項目
成績評価方法と基準 課題またはレポート(50%),期末試験または総合課題(50%)
授業の方法 講義

授業の特徴

PBL

特色ある教育

反転授業
Moodleを活用する授業
その他、能動的要素を加えた授業(ミニッツペーパー、シャトルカードなど)

英語を用いた教育

授業アンケート結果を受けての改善点 有機化学のおもしろさを伝えられるように,取り上げる項目を厳選し,判りやすい説明を心がける。Moodleを活用して有機化学の内容を多面的に伝えるように取り組む。Moodleにより講義資料を配信し,オンデマンドの講義動画を充実し,それらを使って事前学習を済ませてから講義を聴く,反転授業を行う。毎回の授業内容を予習・復習する課題に取り組み,学生-教員の連絡をとるにより学習と理解を促進する。
教科書 ボルハルト・ショアー現代有機化学-第8版-上巻,KPC Vollhart, NE Schore著,古賀憲司,野依良治,村橋俊一(監訳),大嶌幸一郎,小田嶋和徳,小松満男,戸部義人(訳)2019年(化学同人)。一度に50ページ程度進まねばならないときもあるので,すべてを説明することは不可能である。そのため必ず予習・復習すること:教科書を事前に読み,各章の例題や章末問題を解いてから授業に臨むことを必須とする。
参考書 ヴォート基礎生化学-第4版-,D Voet, J Voet, C Pratt著,田宮信雄, 村松正實, 八木達彦, 遠藤斗志也 (訳) 2014年(東京化学同人)
オフィスアワー 毎週月曜日の9:30-12:00,木曜日9:30-10:30,13:00-14:30(665号室またはオンラインによる)。そのほか個別にオンラインによって,行う。疑問点や判らないことを放置せず,積極的に質問の機会を得て理解を積み重ねること。
受講要件 有機化学を将来の専門分野と考える,やる気の学生の受講を歓迎する。将来に向けて有機化学の基礎をしっかり固めたい者に向けて講義する。
予め履修が望ましい科目 高校までの有機化学を理解していること。基礎的な数学と物理学の知識を必要とする。
発展科目 有機化学II,創薬化学,分析化学,生物物理化学,生命機能化学実験実習など,生命機能化学講座の全ての専門科目
その他 教員免許・各種資格取得に関連した科目 (注 : 必ず入学年度の学修(習)要項で確認してください)

授業計画

MoodleのコースURL
キーワード イオン結合,共有結合,オクテット則,ルイス構造,共鳴構造,軌道と結合,構造と化学式,酸と塩基,官能基,直鎖アルカン,分岐アルカン,命名法,立体配座,回転障壁,ポテンシャルエネルギー図,アルキルラジカル,超共役,熱分解,塩素化,ラジカル,連鎖反応,ハロゲン化,環の歪み,シクロヘキサン,置換シクロヘキサン,大環状アルカン,多環アルカン,テルペン,沸点,融点,溶解度,求核置換反応,反応機構,電子移動,SN2反応,立体化学, R,S表記法,脱離基,求核剤,加溶媒分解,SN1反応,溶媒効果,E1脱離反応,E2脱離反応,アルコールの合成,酸化と還元,有機金属反応剤,Grignard反応,合成戦略,逆合成解析
Key Word(s) ionic bonding, covalent bonding, octet rule, Lewis structure, resonance structure, orbital and bonding, structure and chemical formula, acid and base, functional group, linear alkane, branched alkane, nomenclature, conformation, rotational varrier, potential energy diagram, alkyl radical, hyperconjugation, thermal degradation, chlorination, radical, radical chain reaction, halogenation, ring strain, cyclohexane, substituted cyclohexane, lage-membered cycloalkane, polycyclic alkane, terpene, melting point, boiling point, solubility, nucleophilic substitution, reaction mechanism, electron movement, Sn2 reaction, stereochemistry, R,S configuration, leaving group, nucleophile, solvolysis, Sn1 reaction, solvent effect, E1 elimination, E2 elimination, synthesis of alcohol, synthetic strategy, retro synthetic analysis
学修内容 第1回 講義計画と評価方法 有機分子の構造と結合
 イオン結合と共有結合,オクテット則,有機化合物の構造表記法,ルイス構造,ケクレ構造,形式荷電,共鳴構造,極限構造,電子配置,混成軌道,化学構造表記の使い分け。

第2回 有機化合物の構造と反応性
 酸と塩基,電子移動を示す矢印表記,官能基の性質,ルイス酸ルイス塩基,酸解離平衡,pKa,酸性度の増大要因,官能基と化合物の性質の支配要因,求核種と親電子種。

第3回 有機化合物の構造と反応性2
 アルカンの構造と命名法,IUPAC命名法,アルカンの沸点融点,異性体と性質,立体配座,回転障壁とエネルギー,アンチ配座とゴーシュ配座,エネルギー変化の存在確率。
 
第4回 アルカンの反応1
 結合の強さ,ホモリシス開裂ヘテロリシス開裂,アルキルラジカルの安定性,超共役,結合解離エネルギー,アルカンの熱分解,ラジカル塩素化反応,連鎖反応。
 
第5回 アルカンの反応2
 アルカンの塩素化,ラジカル連鎖反応,アルカンのハロゲン化,ハロゲン化の選択性,燃焼熱,化学構造と燃焼熱の関係,熱化学方程式,発熱反応と吸熱反応。

第6回 シクロアルカン1
 シクロアルカンの命名と性質,環の員数と歪み,シクロヘキサンの立体配座,結合角歪み,重なり歪み,渡環歪み,歪みの燃焼熱の影響,椅子形舟形ねじれ舟形。
 
第7回 シクロアルカン2
 置換シクロヘキサンの構造と熱平衡,環反転,置換基の方向と安定性,自由エネルギー変化の存在確率,1,3ジアキシャル相互作用,大環状アルカン,多環アルカン,テルペン,命名法における置換基の優先順位。

第8回 立体化学
 鏡像異性体とその区別,R,S命名法,掌性と光学活性,ジアステレオマー,Fisher投影法,D,L体とd,l体,立体選択的反応,糖の種類と命名法,α体とβ体,アミノ酸の構造と立体化学。
 
第9回 ハロアルカンの性質と反応1
 ハロアルカンの物理性質,求核置換反応,反応機構,遷移状態,反応速度式,一次反応二次反応,協奏的反応,背面攻撃,立体反転,SN2反応,親電子種と求核種,脱離基。

第10回 ハロアルカンの性質と反応2
 SN2反応の立体化学,脱離基と求核剤の反応への影響,アルキル置換基の影響,溶媒和と反応速度,非プロトン性極性溶媒,分極率,親電子種の立体障害,求核性を決める要因。
 
第11回 ハロアルカンの反応
 加溶媒分解,SN1反応の立体化学,溶媒と脱離基の効果,求核剤やアルキル基の影響,溶媒和とプロトン性極性溶媒,超共役とカチオンの安定性,SN2とSN1の条件と反応機構の違い。
 
第12回 ハロアルカンの反応
 E1脱離反応,E2脱離反応,置換反応と脱離反応の競合,アンチ脱離,立体障害の大きな強い塩基,SN1, SN2, E1, E2の反応条件と生成物の変化。
 
第13回 ヒドロキシ官能基1
 アルコールの構造と命名,アルコールの酸性度と構造の関係,水素結合と融点沸点関係,誘起効果と酸性度,酸や塩基としての働き,置換反応によるアルコールの合成,二段階合成法。

第14回 ヒドロキシ官能基2
 アルコールの合成,酸化と還元反応,ヒドリド還元,クロム酸酸化,ヒドリド発生試薬,クロム酸エステルの脱離反応,過剰酸化,PCC酸化,逐次反応機構,エステル生成反応,酸触媒の働き。

第15回 ヒドロキシ官能基3
 有機金属反応,Grignard反応,合成戦略,逆合成解析,炭素鎖拡大反応,有機合成計画,連続合成,有機化学Iの総合的振り返り,期末試験(期末課題)の説明。
 
第16回 期末試験
事前・事後学修の内容 深い身につく学びを進めるため,各回の授業について,予習復習を含む準備学習を毎回4時間行うこと。
予習:授業の内容(教科書の記述)の分量が大変多いので,各回の教科書の該当部分を必ず予め読み、事前に配布する授業資料を使いながらMoodle HPに整備するオンライン解説動画を視聴すること。理解促進の為に提示する課題や問題を解いてから授業に臨むこと。
課題:講義内容の理解を深めるための”反転授業”を実施する。毎回予習・復習課題を科すので,必ず重要な概念や用語を教科書を読んで理解する。練習問題や具体的な問題を解いて授業内容の予習を定着させる。
復習:授業では,教科書の該当範囲から重要な箇所を説明する。取り上げることのできない部分も多いので,教科書を再度読み疑問点や未解決の部分を確認すること。章末問題(課題,あるいは,自主課題)を再度さらに考えて解き,理論や知識を確かにすること。
予習復習で仕上げた課題を提出すること。毎回の課題点として積み立て,期末試験の得点と合わせて評価する。
態度:授業の進度に合わせて,不明な点や疑問点を調べたりして解決しておくこと。有機化学を身につけるには,着実に知識を積み重ねることが必要である。
各回の予習復習内容

第1回 講義計画と評価方法 有機分子の構造と結合
 (予習:教科書第1章P.1-62を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。イオン結合,共有結合,オクテット則,について理解する。混成軌道と立体的な形を学ぶ)
 (復習:電気陰性度の違いが原子同士の結合に及ぼす影響,イオン結合と共有結合の違いと共通性についてまとめる。共鳴の起こる理由と極限構造式の書き方を復習する。各種の化合物をルイス構造,ケクレ構造,結合を直線で書く方法で作図する)。

第2回 有機化合物の構造と反応性
 (予習:教科書第2章P.63-93を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。化学平衡における反応式と平衡定数の定義について学ぶ。2原子分子A-Bが酸性を示す理由を考える。酸解離定数とpKaの関係式を学ぶ。)
 (復習:分子が酸性を示す反応の仕組みを説明する。酸性度が強くなる要因をまとめる。複数の酸が競合する場合の平衡式を理解し,共役酸と共役塩基の具体的な存在比率を計算する。ルイス酸とルイス塩基の性質と反応をまとめる)

第3回 有機化合物の構造と反応性2
(予習:教科書第2章P.94-124を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。炭化水素の構造と性質を理解する。IUPAC命名法を学ぶ。アルカンの鎖の構造と回転異性体の安定性の違いを学ぶ)
 (復習:化学構造を見て正しい名前を付ける,名前から正しい化学構造を書く練習をする。回転異性体のNewman投影式を書く。異性体の構造から安定性を推定し,自由エネルギーの差(ΔG)から存在比率を計算する。)

第4回 アルカンの反応1
(予習:教科書第3章P.125-144を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。結合A-Bのホモリシス開裂とヘテロリシス開裂の違いを学ぶ。結合の強さと結合解離エネルギーDH0の関係を調べる。アルキルラジカルの生成のし易さと超共役の効果を学ぶ。メタンのラジカル塩素化機構の4段階を書き出して理解する。)
 (復習:反応に伴い放出されるエンタルピーΔH0を計算する。ΔH0を基に反応の進みやすさを判断する。ラジカル連鎖反応の4段階を理解して反応の熱収支を説明する)

第5回 アルカンの反応2
(予習:教科書第3章P.145-172を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。アルカンのラジカルハロゲン化反応の熱収支と選択性の関係を学ぶ。反応生成物の生成比率を化学的に予想する方法を学ぶ。燃焼熱の定義と発生するメカニズムを学ぶ。)
 (復習:各種のハロゲン化反応の生成物の比率を合理的に計算する。化合物の燃焼熱の計算を実践する。アルカンの構造と燃焼熱の違いを合理的に推定する。)

第6回 シクロアルカン1
(予習:教科書第4章P.173-189を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。シクロアルカンの構造と命名を調べる。燃焼熱から環歪みを見積もる考え方を理解する。シクロヘキサンの立体配座について調べ,それぞれの作図を練習する。)
 (復習:シクロヘキサンの椅子型,舟型,ねじれ舟型の違いを指摘し,歪みの状態を区別して説明する。環の歪みと燃焼熱の関係を説明する。)

第7回 シクロアルカン2
 (予習:教科書第4章P.190-220を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を把握する。シクロヘキサンの置換基の配向と自由エネルギー変化についてまとめる。)
 (復習:環反転による安定性を指摘し,安定と不安定配座の存在比を計算する。自然界に存在する環構造化合物の構造と性質を調べる。)

第8回 立体化学
(予習:教科書第5章P.221-274を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を把握する。キラリティー(掌性)の現れる要因を把握する。置換基の優先順位とR.S命名法を理解する。エナンチオマー,ジアステレオマー,メソ体などの違いを学ぶ。)
 (復習:不斉中心を持つ化合物に名前を付ける,名前から正しい立体構造を書く練習をする。光学純度と旋光度の関連から光学活性体の純度と存在比を計算する。)

第9回 ハロアルカンの性質と反応1
(予習:教科書第6章P.275-294を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。ハロアルカンの構造と命名法を学ぶ。求核種,親電子種を区別して,求核置換反応のメカニズムを学ぶ。求核置換反応と化合物の立体化学の関連をまとめる)
 (復習:ハロアルカンの命名法を学び,構造から正式名,名前から正しい構造を書く練習をする。求核種と親電子種との反応,遷移状態を正しく理解して作図する。求核置換反応SN2の起こる理由と反応機構の合理性を説明する。)

第10回 ハロアルカンの性質と反応2
(予習:教科書第6章P.295-320を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。求核置換反応を促進する条件を挙げ,ぞれぞれの効果をまとめるため,以下の言葉の意味を調べる;脱離能,塩基性,求核性,溶媒和,分極率,立体障害,ハロアルカンの級数。)
 (復習:求核剤と親電子剤の組み合わせにおいて,反応速度の変化と生成物を予想する。反応の遷移状態を把握し,正しい図を書く。)

第11回 ハロアルカンの反応
(予習:教科書第7章P.321-336を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。三級ハロアルカンの加溶媒分解SN1についてSN2との違いを意識して反応機構を学ぶ。反応速度式を調べて遷移状態の特徴を考える。)
 (復習:一分子求核置換反応のメカニズムと速度式の対応関係をまとめる。SN1反応の遷移状態,カチオン中間体,生成物が生じる機構を段階を追って書く。反応速度に影響する要因をまとめて理解する。)

第12回 ハロアルカンの反応
(予習:教科書第7章P.337-363を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。一分子求核置換反応SN1と一分子脱離反応E1の共通性と違いを調べる。二分子脱離反応E2の特徴をまとめる。二種類の脱離反応の違いを調べて,反応の特徴と反応条件をまとめる。)
 (復習:E1反応の反応機構を理解し,複数種類の生成物の構造を予測する。E2反応の反応機構であるアンチ脱離についてまとめる。E1とE2および,SN1とSN2の共通点と相違点を調べ,反応条件と4つの反応形式の対応をまとめる。)

第13回 ヒドロキシ官能基1
 (予習:教科書第8章P.365-377を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。アルコールの構造と性質の特徴をアルカン,ハロアルカンと比較して理解する。級数による分類と構造による命名を学ぶ。酸として,塩基としての性質およびその強さと構造の関係を学ぶ。)
 (復習:各種のアルコールの命名と,構造を見て名前を付ける練習を行う。構造と酸性度の関連を理解し,構造と酸性度の対応をまとめる。アルコールの簡便な合成方法を理解して,反応機構の説明を行う。)

第14回 ヒドロキシ官能基2
(予習:教科書第8章P.377-386を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。アルコールとカルボニル化合物の相互変換の原理を理解する。ヒドリド発生試薬とヒドリド還元の反応機構を調べる。アルコールのクロム酸酸化の反応を理解し,反応機構を説明する図を書く。)
 (復習:ヒドリド発生試薬であるNaBH4とLiAlH4の共通点と相違点を反応機構から理解してまとめる。クロム酸酸化の反応機構を理解して,生成物を生じるまでの逐次反応式を作成する。)

第15回 ヒドロキシ官能基3
(予習:教科書第8章P.386-421を熟読する。Moodle HPの講義資料とWeb講義動画を見て講義内容を事前に把握する。有機化合物の炭素鎖を延長する手法として,有機金属試薬の特徴と利点をまとめる。グリニアル反応の機構を調べる。複雑なアルコールの連続合成反応に関する各段階の反応を書き出してまとめる。)
 (復習:有機金属試薬の生成反応とそれを利用する合成反応を理解して,反応機構を書く。逆合成戦略に沿って,望む構造のアルコールを得る連続反応を計画する。)
事前学修の時間:120分/回    事後学修の時間:120分/回

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